

フランスでは今、ランニングが大ブームです。全国で何百万人もの人々が定期的に走っています。そこで今回、現地のランニングに参加したくなるような特別なコースガイドを作成しました。まずは、グルノーブル、ボルドー、リヨン、アヌシー、パリの5つの美しい都市を紹介します。
フランスでは、かつてないほどランニングが人気です。現在、フランスのランナー人口は約1400万人、そのうち500万人が週に1度はランニングをしています。女性ランナーの数もわずか5年間で200%増加し、男女比はほぼ同等です。ランニングは誰にでも開かれています。今が始めるタイミングという人は多いのです。
ランニングを始めたきっかけ(または走る回数を増やしたきっかけ)にロックダウン(都市封鎖)を挙げる人は多いですが、ランニングの最大のメリットは「メンタルヘルスに良い効果をもたらすこと」だと多くのランナーは口をそろえて言います。街並みを走る「街ラン」では、仕事前に少し走って頭をすっきりさせることも、夕暮れ時に10㎞走ってストレスを解消することも可能です。
目標を設定し、達成したいという意欲も、ランニングを始める主な理由の1つです。自己記録を打ち破り、課題をクリアすることが大きな報いとなります。
フランスでロードランニングの人気が高まっていることを受け、フランス各都市のシティーランガイドを作成しました。作成にあたり、全国に点在する5つの都市に暮らすパートナーアスリートとエキスパート数人に協力をお願いしました。
ここから先は、フランスの美しく挑戦的で意外なルートをご紹介します。そこに住んでいない方も、旅行で訪れたときに走ってみたくなるルートです。
2017年ヤング・トレイル・チャレンジ(Young Trail Challenge)の覇者で、2019年トレイル・デ・エギーユ・ルージュ(Trail des Aiguilles Rouges)で2位になったシャルボラン選手は、生まれてから23年間、ずっとグルノーブルで暮らしてきました。
「すべての通り、すべての路地、すべての公園を知り尽くしています」。そう語るシャルボラン選手は、アルプスに近く、歴史的遺産に恵まれた、無限に続くランニングルートのある故郷の街をこよなく愛しています。今回はシャルボラン選手のお気に入りの2つのルートをご紹介します。ランニング初心者に最適なルートで、日頃のランニングに変化を加えたい人にも理想的です。
シャルボラン選手についてさらに詳しく知りたい人は、インタビュー記事をぜひご覧ください。Instagramでシャルボラン選手をフォローできます。
シャルボラン選手からランニング初心者へのアドバイス:
【ルート1】バスティーユ坂:景色を楽しみながら走る
距離: 11.47 ㎞ | 獲得標高:668 m
「(18世紀に傾斜に建てられた要塞にちなんで名づけられた)バスティーユの丘の頂上は、汗を流して登る価値があります。難所もある上り坂ですが、安全で整備された林道です」
「時間帯によっては、持久力や筋力のトレーニングに励む他のランナーに出会うこともあります。彼らがこの場所を選ぶ最大の理由は、頂上に着いたときの景色です。これほど素晴らしい景色は他にありません。その景色を見るたびに、私は笑顔になります」
【ルート2】バシュラール公園:眺めの良いトラック
距離:2.44 km | 獲得標高:0 m
サニアルさんはこの20年間、多くの人をランニングの道へと導いてきました。2014年からはリヨン・ランニング・クルー(Lyon Running Crew)の代表を務めています。「ランニングは『共有すること』でもあります。私はそんな社会的な面がランニングの良いところだと思っています。リヨンのランニングコミュニティーが私の原動力です。それなしに走ることなど考えられません」
「リヨンはランニングに最適です。フルヴィエールとクロワ・ルースという2つの美しい丘があるからです。また、市内中心部には、平坦な道を走りながら歴史や文化を見て回るのに最適なルートがいくつかあります」
インスタグラムでリヨン・ランニング・クルーをフォローしましょう。
サニアルさんからランニング初心者へのアドバイス:
【ルート1】ソーヌ川とローヌ川:2つの川、深い歴史
距離:8.77 km | 獲得標高:66 m
「このルートは、リヨンの魅力が肌で感じられる感動的なルートです。昔の倉庫を美術館に改装したラ・シュクリエールや、水晶の雲のように見えるほど印象的なコンフルエンス美術館を通ります」
「リヨンの2大河川、ローヌ川とソーヌ川に沿って走ることができます。改装されたドック沿いの道はほとんどが歩道です。実際、このルートには道路を横断したり、自動車などの往来に注意したりしなければならない所がほとんどありません。インターバルトレーニングにも最適です」
【ルート2】フルヴィエール大聖堂:街の最高地点を走る
距離:9.26 km | 獲得標高:377 m
「リヨンに初めて来た人や、持久力や筋力を鍛えながら素晴らしい歴史と景色を楽しみたい人には、このコースがお勧めです。ルネッサンス様式の邸宅や隠れた中庭があるリヨン歴史地区を通ります。この地区にはバーやレストランが多いです(リヨンは断然、フランスの美食の首都ですから)」
「その後、市内で1番高い場所にあるフルヴィエール大聖堂まで登ります。リヨンの地平線とアルプスの絶景が見渡せるので、そこで休憩するのがおすすめです。息を整えたら、2,000年以上前に建てられたアンフィテアトル・デ・トロワゴールを通ります」
「これらはもちろん人気の観光スポットですが、早朝に出発すれば、リヨンの街を独り占めしているような気分に浸れます」
プロセイラーになるまであと1歩のところにいたパルジャディさんがランニングを始めたのはほんの数年前のこと。これまでに、トレイルでマラソンとウルトラマラソンを数回走りました。現在は新しい目標や成果を達成するために努力を続けています。
パルジャディさんからランニング初心者へのアドバイスは「ランニングのパートナーを見つけること」です。パートナーが人間である必要はないそうです。「ランニングの99%は愛犬のボーダーコリー『オメガ』と走っています。私にとっても、オメガにとっても、公園をただ歩くより、そっちの方がずっと楽しいです」。パルジャディさんとオメガをインスタグラムでフォローしましょう。
パルジャディさんさんからランニング初心者へのアドバイス:
「大会やイベントへの参加を検討してみましょう。期限や目標は、自分を駆り立てて新たな高みに到達する素晴らしい手段です」
【ルート1】ラ・ガロンヌ&ゴールデントライアングル:公園から哲学者の道まで
距離:10.29 km | 獲得標高:46 m
「このルートは、ボルドーを象徴するブルス広場から始まります。18世紀に造られたこの広場を通り過ぎると、今度は11世紀に建立された巨大な大聖堂と市庁舎のあるペ・ベルラン広場を通ります。ピュブリック庭園の手前に来たら、グランゾム地区に注目してみると良いでしょう。この地区はゴールデントライアングルとして知られ、市内で最も高額な不動産が見られます。ここの通りはすべて、モンテスキュー、ヴォルテール、ルソーなどフランスの有名な哲学者にちなんで名付けられています」
「フランス南西部の暑さを考えると、このルートは夏場にも最適です。ピュブリック庭園の木陰を長い間走ることができるからです」
【ルート2】4つの有名な広場:洗練されたボルドーに触れる
距離:6.42 km | 獲得標高:17 m
「このルートではボルドーを象徴する4つの広場を巡ることができます。ヴィクトワール広場、ペイベルラン広場(ボルドーのメイン広場)、ガンベッタ広場、カンコンス広場(欧州最大の都市広場)の4つです。
「ガロンヌ川も2回渡るため、ボルドーの素晴らしいスカイラインを眺めることができます。私は夕暮れ時にこのルートを走るのが好きです。運が良ければ、空がオレンジと黄色とピンクの混ざった美しい色合いに変わるところが見られます。空が油絵のように見える時もあるんですよ」
フランス中部オーセール育ちのウィンデールさんは現在24歳。趣味で陸上競技を始めたのを機に、トレイルランニングに出会いました。「すぐに夢中になり、走る場所をトラックから山に移しました」。けがの休養期間を含め5年間をトレイルランニングに費やした後、再びロードランニングに戻りました。 「トラックとロードランニングに戻ってから2年経ちました。最近は1,500mを専門に取り組んでいます。冬は10㎞ランとクロスカントリーランをしています。調子が良ければ10㎞で30分を切ることもありますし、1,500mで3分45秒の記録を出したこともあります。ですが、タイムがすべてではありません。単に気持ちが良いから走ることもあるし、アヌシーをもっとよく知りたいから走る時もあります」
ウィンデールさんをインスタグラムでフォローして、彼が最近走ったルートや、参加レースをチェックしよう。
ウィンデールさんからランニング初心者へのアドバイス:
「ランニングは初めはつらいかもしれませんが、後で報われます。すぐに心と体に良い刺激を与えてくれるでしょう」
【ルート1】プチポート・ボンリューのループ:湖や山の美しい景色
距離:10.11 km | 獲得標高:17 m
アヌシー湖の北側に沿ったこのループは、昼休みのランニングに最適です。空が澄んでいれば、湖の向こう側のラ・トゥルネットの山頂まで何キロ先も見渡すことができます。恋人の橋という意味のポン・デ・アムールを渡ると、運河の非常に青く澄んだ水と木々に囲まれた公園が見えます。
「ルート全体が平坦なので、気楽なランニングやリカバリーランに最適です。インターバルトレーニングに挑戦したい人にもおすすめです」
【ルート2】旧市街:体力づくりと青い水面
距離:3.04 km | 獲得標高:91 m
「この短いループでは、『アルプスのベニス』と呼ばれる旧市街を通ります。古い橋を渡ったり、オープンカフェの前を通ったり、ものすごく古い建物を見たりすることができます。ランダムに左右を曲がって、ルートを延長することもできます。思ったよりもエネルギーレベルが高いときに、私はよくそうしています。
「旧市街の探索にはとても刺激的なルートです。階段が多いのでフィットネスにも最適です。また、湖の素晴らしい景色を眺めながら走ることもできます」
ダラゴンさんは2013年、マレランニングクラブ(MRC)を共同設立しました。「パリ北部に住んでいます。ピガール地区とモンマルトルの近くですが、場所を問わず走っています。新しい路地やエリアをよく発見します。新しいバーを見つけたら、夜そこに戻ることもあります」
MRCはメンバー同士の絆が強いですが、新しいメンバーも温かく歓迎するなど、開放的で活気ある環境づくりに努めています。ランニングを始めたばかりの人は、地元のランニングクラブを探してみましょう。必要なサポートと知識が得られるかもしれません。
MRCの共同創設者の1人、アンソニーさんとのインタビューはこちらをご覧ください。インスタグラムとStravaでMRCの創設者たちをフォローしましょう。
ダラゴンさんからランニング初心者へのアドバイス:
「私が話した人の多くは、ランニングが運動だけでなく、探索という要素も持ち合わせていることに気づいていません。それに気付けば、常に新しい通りやエリアを見つけられるはずです」
【ルート1】モンソー公園:夜明けの早朝ランニング
距離:9.89 km | 獲得標高:131 m
「早朝にこのルートを走るのが好きです。街が目覚めたばかりだと、モンソー公園へ続く道に人がほとんどいないからです。モンソー公園は美しい庭園で、1周が約1kmなので、エネルギーレベルに応じて何周か増やすことができます。こんな早い時間帯でも他のランナーに出会うかもしれませんが、相手のランニングへの意欲や熱意が感じられるのは良いと思います」
「次の場所に行く準備ができたら、サクレクール寺院へ向かいましょう。かなりきつい上り坂ですが、パリの最も美しい景色を眺められます。しかも観光客がどっと押し寄せる前にセッションを終えることができます。最高の1日の始め方です」
【ルート2】モンマルトル:上って、下って、また上って…
距離:5.56 km | 獲得標高:131 m
「このルートはジェットコースターのようなものです。モンマルトル地区の小さな路地や階段を上ったり、下ったり、また上ったりします。短いですが、起伏の激しい素敵なルートです。それに距離の長さやアップダウンの多さを簡単に変えられるルートでもあります。もっと長く走りたいときや、もっと坂道を増やしたいときは、コースの途中でもあと1周追加することもできます。他の道に入って気分転換するのもいいですね」
「また、このルートを走ると、私は自分が育ったフランス・アルプスの山道を思い出します。ここは言わばパリの山です!」