

季節が変わり寒くなると、多くのランナーは屋内に閉じこもってしまいます。しかし、適切なマインドセット、適切なギア、適切なアドバイスがあれば、この冬を最高の状態で走り出すことができるうえ、冬をオフシーズンにしてしまったランナーよりも有利なスタートを切ることができます。
冬のランニングは大変です。思うような天気ではない時に、重ね着をして暖かい場所から外に飛び出すなんてことは、誰もやりたくはありません。とはいえ、もし今後、寒すぎるからといって走るのをためらうことがあれば、このことを思い出してください。
これは、トレーニングを行うメリットがあるというだけでなく、レースで競い合うかもしれない誰かが天気を理由にトレーニングしなかった場合、あなたはその分だけ少し有利になれる可能性もあるということです。
雪に覆われた米コロラドのスプリングスで冬の間トレーニングに励むOn Athletics Clubのエリートアスリートとデイゼン・リツェンハイン監督に、プロの選手たちが寒さの中でどのようにランニングをしているのかについて話を聞きました。
通常、冬のランニングにはある程度の重ね着が必要です。一般的な重ね着は、その日の気温とランニング時に感じる暑さに応じて、保温効果または加圧効果のあるベースレイヤー、軽量素材のミドルレイヤー(標準的な長袖ランニングTシャツやパンツ)、厚手の調節可能なアウター(フード付きジップアップランニングジャケットなど)を取り入れます。
冬場のランニングでは気温の上下が激しくなることも多いため、対応できるような重ね着をすることがポイントです。寒い日のランニングで何を着るべきかについての詳しいガイドはこちらをお読みください。
*OACからのアドバイス: 風から身を守るアウターレイヤーを一番上に着用しましょう。ただし、着脱が簡単で腰に巻けるものを選んでください。その保護レイヤー1つで、風の強い日や雨の日の活動に大きな違いが生まれます。
「さっさと済ませてしまおう」という態度で寒さに立ち向かうと、自分の走りに失望して終わることになります。しかし、数分の時間を割いて、トレーニングの目的を視覚化すれば、あなたの意識は天気から目標へと移行します。
屋内で重ね着したものを全て着たまま簡単なウォーミングアップをし、外に出て心拍数を上げるエクササイズをいくつか行い、体が気温に順応しているのを確認してから、走り出しましょう。
ウォーミングアップ時の必需品については、こちらをお読みください。
天気予報アプリやグーグルマップを使えば、事前にランニングの計画を立てるのは簡単です。そこで、最も良い天気になる時を事前に確認しつつ、天気が崩れてもあまり身がさらされないルートや、(近さに応じて)悪天候から身を守れるような「自然の避難所」があるトレイルを走りましょう。
ピリッと身の引き締まるような状態で走ると、最初からペースを上げたいと思うかもしれません。しかし、より長い距離を走ることを目標としている場合は、最初の数マイルで疲れ切ってしまう場合があります。ですから、普段通りのペースで走りましょう。温度調節機能のあるギアを着ているならなおさらです。これはけがの防止に役立ち、体が寒さに慣れる時間を与えてくれます。
*OACからのアドバイス: 風が強い時は、まず風上に向って走り始められるルートを選びましょう。汗をかきながら、冷たい向かい風の中を走ることほどつらいことはありません。
自分のライフスタイルに合ったトレーニングルーチン見つけるのが最良です。ただ、天気が予測できない季節には、ある程度の柔軟性を取り入れるのが良い方法です。
寒さがあまりにも厳しいけれど、ランニングのレベルは維持したいという場合は、冬にトレッドミルを走ることで、トレーニングを継続できます。また、温水プールを利用できるならば、アクアランニング(水の抵抗に逆らって走ること)などを取り入れてトレーニングルーチンに変化を付けるのも良いでしょう。トレッドミルの「ハムスター用回し車」に飽き始めて、他のトレーニングを取り入れたい場合などに効果的です。
*OACからのアドバイス:氷や雪と戦うのはやめましょう。冬の天気で、足元が悪くなることがありますが、体がこわばったり、けがをしたりしないためにはフォームを変えないことが重要です。必要に応じて速度を落とすか、雪の無い場所や舗装された路面、トレッドミルを代わりに走りましょう。
理想的な重ね着の枚数が分かったところで(上記参照)、自分に適したシューズを見つけましょう。ギアと同じように、ランニングシューズも耐候性があるなど、同じ条件を満たすものが必要です。冬のランニングシューズの最も重要な機能は防水性です。雨や雪の中を走ってシューズが濡れるとすぐに重くなり、足元から冷えてしまうからです。グリップは、冬のランニングシューズに求めるべきもう1つの主な要素です。天気が崩れたときに足元をしっかりとコントロールするために必要です。
ランニングから戻ったら、濡れた服を着たままくつろいではいけません。まずはシャワーを浴びてから、室内で回復のためのストレッチをしましょう。他には、温かい飲み物でエネルギーを補給しましょう。寒い中で長時間走った後は、普段走った後に飲んでいるスムージーは飲みたくないかもしれません。そんな時はおいしいプロテイン入りホットココアのレシピを探してみましょう。
*OACからのアドバイス:ランニングやトレーニングの後は、エプソムソルトバスに入浴したり、回復を促すためにサプリメントをいくつか飲んだりしましょう。ゆっくりとお湯につかって疲れを癒し、体の回復を促すことは良いことです。冬の寒い日には尚更です。
冬に走らない一般的な理由として、体が冷えると体調を崩すという点を挙げる人もいます。研究によると、真実はその反対。冬の間を活動的に過ごすと、病気を未然に防ぐことができることが分かっています。
体調を崩す原因となるのは、天気に合った服装をしていないことです。冬に正しくランニングをするためには、適切なギアを用意することがとても重要なのです。
最後に、冬のランニングに関して多く寄せられる質問をいくつか取り上げました。冬のランニングに立ち向かうモチベーションアップや、走りの良い刺激になる事実も交えて紹介します。
Q&A:冬のランニングに関する5つのよくある質問
寒い季節に走るのは良いことですか、それとも悪いことですか?
適切なギアを着て寒い中を走るのは、他の季節に走るのと同じことです。唯一の厄介な問題は、呼吸が冷たく乾燥した空気の影響を受ける可能性があることです。外の気温が摂氏4度(39.2°F)より低い場合は、暖かい空気のバリアを作るためにマスクをしたり、スカーフで口を覆ったりすることをおすすめします。
寒い日は、より多くのカロリーを消費しますか?
寒い日のカロリー消費量は、普段の消費量をわずかに上回りますが、それほど大きな差にはなりません。これは、体の一部が寒さから十分に守られていない時に生じる震えによるものです。繰り返しになりますが、普段のランニングで燃焼するカロリー数との差はごくわずかです。
ランニング中にすごく寒さを感じたら、どうすれば良いですか?
寒さから逃れられなくなったら、最も重要なことは、風が当たらない場所を見つけて、濡れないようにすることです。危険を伴う天候の中を走る場合は、常にスマートフォンを携帯して助けを呼ぶことができるようにしておくか、少なくとも、過酷な気候条件の中を走る前には、行き先を誰かに知らせておきましょう。
寒すぎて走れないというのは、どの程度の寒さですか?
これは人によって異なりますが、適切なギアを着用していれば、どんな気温でも走るのは問題ありません。
寒い中を走る時も、同じくらいの水分摂取が必要ですか?
あまり知られていませんが、寒い中を走る時、あなたの周りの空気は(雪に大量の水分が含まれているにも関わらず)乾燥しています。呼吸の問題を防ぐためには、気道と口を湿らせておくために、寒い日には、考えている以上の水分を補給しなければなりません。