

「トレイルは誰にでも開かれている」と語るのは、Onアスリートでトレイルランナーのデヴィッド・ノリス選手。そんな彼に舗装路を離れて、自信を持ってトレイルランを楽しむためのアドバイスを聞きました。


トレイルランニングといっても、いきなり高い山を走ったり、超長距離のレース参加を求められるわけではありません。多くの人は、未舗装路や公園の周回コース、道路脇にあるトレイルから始めます。
コロラド州を拠点に活躍するOnのトレイルアスリート、デヴィッド・ノリス選手は、トレイルランニングを「常に変化する地形に順応しながら、林道や山道などのオフロードを効率よく移動すること」と定義します。クロスカントリースキーのプロ選手でもあった彼は、一歩足を踏み出すごとに異なる視点に出会えるのが、この競技の醍醐味だと語ります。「ストライドやペース、地形、風景は刻々と変化していきますから」。走るたびに新たな発見がある。だからこそ人はトレイルランニングに魅せられるのです。
未舗装路を走る前に、まずは軽い準備を整えることで大きな違いが生まれます。トレイルランニングでは路面の状態は一定ではないため、その分、体にも負担がかかります。だからといって、あまり難しく考える必要はありません。
トレイルに適したギア選びと身体作りについて、ノリス選手は次のようにアドバイスをします。
まず、シューズは何よりも重視しましょう。トレイルで一番大切なのは履き心地、そして安定感です。ロードランニングシューズとは異なりトレイルランニングシューズは、必ずしも平らではなかったり、スリップしやすい路面や、足元の急激な変化にも対応できるように設計されています。
初めてシューズを選ぶときに注目すべきポイントは次のとおりです。
- グリップ力:アウトソールに高めのラグが配されているか、多方向にグリップ力を発揮するものなら、ぬかるみや岩、木の根が多くても走りが安定します。 - 耐久性:アッパーに補強がほどこされ、特につま先部分が強化されていると、トレイルで石や落ち枝などにぶつかっても足を守ってくれます。 - フィット感と履き心地:圧迫することなく足をきちんとホールドするものを選びましょう。シューズの中で足が泳がず安定すると靴擦れも起こりにくく、凹凸のある路面でも足が滑るのを防ぎます。 - 安定感:ミッドソールのサポート力が高く、足首とかかとをしっかりホールドする設計だと、不安定な路面でも自信を持って走ることができます。
ノリス選手のおすすめはCloudvista 2。軽くて快適で屈曲性にも優れているため、「オールラウンドなトレイルランニングシューズ」だと絶賛します。初級トレイルに挑戦するのであれば、Cloudsurfer Trail 2もぴったりです。
いろいろと揃えて持っていきたくなるかもしれませんが、まずはシンプルに始めましょう。「絶対に欠かせないのは、トレイルランニングシューズ、そしてレインコート。それ以外は、距離や走る環境に合わせて、自分が必要とするアイテムを追加していきます」
長距離を走る場合や、天候が変わりやすい環境では、事前の備えが重要です。ノリス選手は、簡単に持ち運べてさっと羽織れる、軽量コンパクト仕様のレイヤーを持ち歩くと言います。「長距離のトレイルにはUltra Vest Proを携行します。風が強い場所や森林限界線を超える高地に行く予定がある場合は、Ultra JacketとUltra Pantsもベストに入れておきます。どちらも本当に軽量ですから」
ハイドレーションベストがあれば、走りを邪魔することなく水分を補給できるうえに、重ね着アイテムや必需品なども便利に持ち運べます。
並外れた体力がなくても、トレイルランニングは始められます。目標はシンプル。自分に合ったペースで走りながら、その過程を楽しめるようになる。それだけです。
「重要なのは、少しずつ体力を付けていくこと。そして、初めてのトレイルランで一日中走るような無茶をしないこと」だとノリス選手。トレイルランニングでは、体に通常とは異なる負荷がかかります。起伏のある路面ではバランス感覚を求められ、足首も強くないと対応できません。急な下り坂で足が筋肉痛になることもあるでしょう。だから、いきなり難易度の高いコースに挑戦するのではなく、短距離から始めて、きちんと休憩を取りながら徐々に体を慣らしていきましょう。
トレイルに特化した身体を作るために、次のような習慣をつけましょう。
- 安定した土台を作る:走る距離と時間は、少しずつのばしていきます。大事なのはスピードよりも継続です。 - フットワークとバランスを鍛える:岩や木の根、起伏のある路面でもしっかり走れるように、軽快で素早い足運びを心がけましょう。 - 坂道で練習:パワーハイキングや上り坂のランニングを行うことで足が鍛えられ、標高の変化にも自信を持って対応できるようになります。 - 筋力とモビリティ:筋力トレーニングを行うと、難易度の高い路面でも関節や骨、腱を保護します。
無理は禁物です。少しずつ体を鍛えるようにしましょう。 ノリス選手も、トレーニング量や強度を増やすのは慎重に行うようすすめています。「一気に変化させるのではなく、微調整を重ねることが大切です」
また、リカバリーと栄養補給も重視しましょう。休息とエネルギー補給はトレーニングの一部です。この時間はワークアウトの成果を体に定着させるためのものであり、次の冒険に向けた準備だと心得ましょう。


リラックスして安全にトレイルを楽しむためには、次のような準備が欠かせません。
- 自分の体力に合ったルートを選ぶ:まずは距離も標高も、自分のレベルにあったものから始めましょう。 - 天気予報の確認:特に標高の高い場所では、急に天候が変化する可能性があるため注意が必要です。 - 必需品を携行する:飲み水を忘れずに。そして長距離を走る場合は、補給食や基本的な応急処置キットを持参しましょう。 - ルートを知らせておく:友人や家族に行き先と、いつ帰宅する予定かも伝えておきましょう。
ナビゲーションツールもあると便利です。トレイルアプリを搭載したスマートフォンがあれば、通常は十分です。事前にフル充電しておくこともお忘れなく。長い距離や人里離れたルートを走るときには、念のため地図やGPS、コンパスを携行するランナーもいます。
ランニングを目いっぱい楽しみ、アウトドアでの時間を有意義に過ごすには、しっかりエネルギー補給も行いましょう。
ノリス選手は、ラン中の栄養補給に胃を慣らすために、週に数回は練習中もあえてカロリーを摂取して、レース本番に備えています。
初心者は、次のようなやり方を試してみましょう。
- 短距離ランでは軽めに:通常は水と、炭水化物とタンパク質を含んだ軽食があれば十分です。 - 必要に応じて本番用の補給食を取り入れる:長時間のトレーニングやレースにはゼリーやエナジーバーが便利です。自分に合うかを練習中に確認しましょう。 - 水分補給を忘れずに:摂取量は距離、路面の難易度、気温に応じて調整します。
ルート探しも楽しみのひとつです。ノリス選手は走りに出る前に、まず地図アプリやStravaなどのデジタルツールを使って、路面と距離を把握することを推奨しています。
ランコミュニティに加わりたいなら、地元のランニングクラブやSNSでトレイルグループを探してみましょう。新たなルートを一緒に楽しめる仲間がきっと見つかるはずです。
トレイルは共有のスペースです。走るときは敬意を払うようにしましょう。モットーは「立つ鳥跡を濁さず」。必ずマーキングされたルートを守り、近道は避けて、環境への影響を最小限に抑えるよう心がけましょう。
次のような基本的なマナーを守ることが大切です。
- 上りのランナーに道を譲る - ハイカーやマウンテンバイク、乗馬者に配慮する - 途中で歩くのもトレイルランの一部であることを忘れない
ノリス選手はこう言います。「トレイルランナーは歩かないと思われがちだけど、実際には途中でよく歩くし、急な傾斜ではレース中でも歩くことがあります」。キツい坂道では歩くのが懸命ですし、無理に走り続ける必要はありません。




トレイルランニングは、ひたすらパフォーマンスを追求するのではなく、今頑張る自分をしっかり意識する良い機会です。あなたのランをきちんとサポートしてくれる適切なトレイルギアを揃えて、ゆったりしたペースを楽しみながら、トレイルを満喫しましょう。
ノリス選手の最後のアドバイスはシンプルです。「とにかく積極的に外に出ること。どんどん新しいトレイルに挑戦してほしい」