

皆さんは「ランナー」と聞くと、どんなランナー像を思い浮かべますか?ランナーの「あるべき姿」とは、一体どんなものですか?私たちは同じ質問を、私たち自身にも投げかけました。同シリーズでは、走りたいと思うすべてのランナーを受け入れ、古いイメージに縛られることなくインスピレーションに溢れる取り組みを行っている団体や人々を紹介します。
ランニングは人生を変えることができる――。慈善団体「ランニング・チャリティー」はこの言葉をモットーに、ロンドンとマンチェスターの若いホームレスが、ランニングを通じて健康的な未来を踏み出せるよう支援しています。
「若者は大きな可能性を秘めていますが、自分ではそれに気付けないことが多いものです」。ランニング・チャリティーの共同設立者、アレックス・イーグルさんはそう話します。
ランニング・チャリティーは、傷つきやすい若者たちがランニングを生きるためのツールとして活用できるようにし、健康やウェルビーイングの向上を目指せるようサポートしています。ランニング・チャリティーでコーチを務めるクロードさんは、身をもってその効果を経験しています。ホームレスの状態から抜け出そうともがいていた9年前、同団体の初のプログラムに参加しました。
自己啓発、フィットネス、ウェルビーイングに焦点を当てたグループセッションや1対1のセッションを通じて、若者たちは自信をつけ、不可能だと思っていたことを実現します。 ランニング・チャリティーは2012年から今日まで500人以上の若者に寄り添い、ランニングで人生を変えるサポートをしてきました。若者に居場所と、人生を取り戻すための場所を提供しています。
友達と一緒に外で遊び、元気いっぱいに近所を探険――。これは、多くの子供たちの典型的な夏休みの過ごし方ですが、ニューヨーク市ブロンクス区で子供たちは必ずしも安全に外で遊べるわけではありません。Fresh Air Fund(フレッシュエアー・ファンド)は、そんな地域の子供たちが安全で楽しい夏体験ができるよう取り組んでいます
Fresh Air Fundは1877年の創設以来、ニューヨーク市の恵まれない地域で暮らす子供たちや若者を対象に多種多様な夏の体験プログラムを提供してきました。サマーキャンプや毎週の集まりなど大小様々な活動を行い、アクティブなライフスタイルを推奨しています。Onは今年の春から同基金と協力し、ブロンクス区で週1回練習を行う陸上クラブをサポートしています。
陸上クラブはブロンクス区に住む若者を対象に、ランニング中心のエクササイズやゲームを行っています。活動の主な目的は健康的な生活習慣の確立、スポーツの普及・振興、そしてチームの育成です。陸上クラブが参加者に与える影響は大きいと考えるのは、家庭教師コーディネーターのケイラ・パウリノさんだけに限りません。パウリノさん自身も子供の頃にFresh Air Fundのプログラムに参加していました。
「何かを達成した、何かをやり遂げたというような嬉しそうな顔をして、子供たちが家に帰ってきたとのポジティブなフィードバックが毎週のように届きました」
走ることですぐに良い効果が出るのを実感できれば、参加者は日常生活にもスポーツを取り入れるかもしれないと、とパウリノさんは期待しています。
パンサボーイズは、お互いにサポートし、お互いからパワーを得られる正真正銘のランニングコミュニティーを目指しています。
「『ランナー』のような体型をしていないからという理由で、ランニングをしたくても恥ずかしくて踏み出せない男性がいます」。パンサボーイズを立ち上げたボデガことマニー・ロドリゲスさんはそう話します。
パンサボーイズは、ニューヨークで生まれ育ったラテンアメリカ系の男性4人が結成したグループです。体を動かしたり走ったりしたいという思い、そしてランナーとして認められるにはそれ相応の体型をしていなければいけないというスティグマ(偏見)を取り払いたいという思いを共有しながら活動しています。
「外見が自分とそれほど変わらず、自分と同じような感覚を持ち、自分の日常に理解を示してくれる人と一緒に走ると、一緒にやり遂げられる気がして安心できます」。メンバーたちはそう力説します。このグループにとって大切なのは、走った距離や自己記録の更新ではなく、自分のために毎日を行動することなのです。
そしてロドリゲスさんは最後にこう付け加えました。「パンサボーイズの皆は私の友人です。メンバーは皆、黒い肌や褐色の肌だし、有色人種。そしてニューヨーク出身です。パンサボーイズの目標は、自分たちのような外見でも構わないのだという意識を男性に持ってもらうことです。見かけに決まりはありません。それが、私たちが伝えたい最大のメッセージです。ただ走り、それについて話すことで活動を広めていきたいと思っています」