
ハイキングが優れたエクササイズである理由:12のメリットから紐解く
整備されていない道をゆっくり進むだけのようですが、ハイキングは実はかなり体力を使うアクティビティです。多様な地形を歩き続けるうちに徐々に体力、持久力、安定性が養われます。
Onアンバサダーのレナ・シュトローマイヤーは、ハイキングを「隠れた」筋力トレーニングだと考えています。「ハイキングでは、一般的なワークアウトでは得られない、機能的な安定性が養われます。心拍数は低いままでも、登りの多いコースを歩いた日は、脚がしっかりと鍛えられるんです」
彼女の言うとおり、ハイキングは有酸素運動と下半身強化を組み合わせたエクササイズです。平坦な道での運動とは異なるアプローチで持久力をつけ、安定性と筋力を強化できます。「走力を鍛える目的で取り入れていますが、単調なジムのマシンで走るのとは違い、素晴らしい景色も味わえます」とシュトローマイヤーは語ります。
そのメリットは身体的効果だけにとどまりません。ある研究によると、自然の中で過ごす時間は、気分の向上やストレスの緩和だけでなく、認知機能もサポートすることが示されています。シュトローマイヤーは次のように説明します。「急な斜面を進むと気分が大きく変わります。ただ距離をこなすだけのランニングマシンとは違い、山道では一瞬たりとも気が抜けません。完全にゾーンに入っている感じ。うまく説明できませんが、今この瞬間に集中するという感覚になります。これが山に夢中になってしまう理由です」
上り坂でのハイキングは、成人に推奨されている週150分の適度な運動の一部として数えることもできます。長時間のハイキングなら、わずか1回のセッションで目標をほぼクリアすることも可能です。
ここで、ハイキングが心と体の両方にどのようなメリットをもたらすかを詳しく見ていきましょう。
ハイキングが優れたエクササイズである理由
ハイキングは、ランニングではないタイプの有酸素運動で、持久力だけでなくさまざまな能力を総合的に鍛えるワークアウトです。地形の大部分は平坦ではないため、下半身をより広い可動域で動かし、起伏のある路面で体幹を使って常にバランスを保つ必要があります。
Onアンバサダーのキアラ・モンディーニもこの意見に深く頷きます。「舗装路やランニングマシンでは、身体は意識せずに機械的に動きますが、傾斜のきついタフなトレイルでは、足を踏み出すたびに身体を細かく調整する必要があります。体幹、足首、左右の安定を保つ筋肉が瞬時に働き、木の根、岩、泥などの状況を読み取って反応します」
短時間の激しい運動とは異なり、ハイキングでは長く動き続けることで、持久力、下半身の筋力、安定性が徐々に養われます。
ハイキングによる身体的メリット
多様な地形に挑み、それを繰り返すうちに、ハイキングがもたらす身体へのメリットは少しずつ蓄積されていきます。
身近なトレイルに初めて挑戦するときでも、数日間に及ぶトレッキングに向けたトレーニングでも、ハイキングの継続的な動きによって心肺機能が強化されます。大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングス、すべてに負荷がかかり、不整地でバランスを保つために体幹の筋肉も絶えず刺激されます。
1. 心肺機能の向上
ハイキングでは、急な上り坂から長い下り坂まで、険しい山道を進むことで心拍数が自然と上昇します。これを続けることで、徐々に心肺持久力が高まります。
ある研究では、自然の中でのエクササイズは血圧の低下や心血管疾患のリスク軽減につながると示されました。
変化に富んだトレイルは、心肺機能の適応力を強化し、持久力や有酸素運動能力の向上を促すのです。
2. 筋力アップ
トレイルには、自然な負荷による筋力トレーニングの効果もあります。急な上り坂では体の後ろ側の筋肉(ポステリアチェーン)が鍛えられ、起伏のあるコースでは脚や体幹の細かな安定筋が刺激されます。トレイルでのこうした積み重ねが下半身の筋力や安定性を高め、日常生活での動きが向上します。
モンディーニはこう言います。「その変化は、一歩目からはっきりと現れます。身体面で言うと、これまで予測できる単調なリズムだった足取りが、まるでパズルのように複雑でダイナミックなものに変わりました」
3. 骨密度の増加と関節機能の向上
ハイキングは荷重(ウエイトベアリング)運動であり、骨に適度な負荷がかかるため、継続することで骨密度の維持に役立ちます。
硬い舗装路での反復運動に比べ、ハイキングではより多様な動きが生まれるため、関節の動きやコーディネーション能力の向上が期待できます。また、自然の地形を歩くことにより、関節の柔軟性や反応性が維持されます。不整地で必要とされるこのような細やかな動きは、足首や膝まわりの結合組織の強化につながるのです。
4. パフォーマンスの向上
ハイキングは、ランニングやサイクリングといった他の持久系スポーツのパフォーマンス向上にも貢献します。有酸素運動、坂の上り下り、筋持久力を組み合わせた効果的なクロストレーニングであり、心肺機能の土台をしっかりと築くことができます。
高地トレーニングに関する研究では、持久力向上の潜在的な効果が示されています。ある研究結果によると、高地トレーニングセッションを週に2回、6週間にわたって実施したところ、男性のエンデュランスランナーが疲労を感じるまでの時間が35%延びました。一方で平地トレーニングの場合、この改善は10%の延びにとどまりました。
5. バランス力と身体の安定性の強化
ハイキングでは、変化する地形に合わせて体を常に微調整させる必要があるため、バランス能力が養われます。岩や木の根などがある不整地を進むときは、筋肉と神経系が連動して一歩一歩の安定性を保ちます。
「起伏のある上級トレイルでは、体幹や足首を支える深層筋が刺激されます。これはジムのマシンではなかなか鍛えられない筋肉です」とモンディーニは語ります。「ハイキングでは本質的かつ機能的な筋力に加え、精神力も養われます。レース当日の予測不能な状況に備えて、心身を完璧に整えてくれるのです」。プロプリオセプション(自己受容感覚)と呼ばれるこのプロセスは、険しい尾根から滑りやすい歩道まで、あらゆる路面で体のコーディネーション、足首の安定性、全身の身体感覚を高めてくれます。
ハイキングによる精神的メリット
ハイキングは身体の健康だけでなく、精神的な健康にも良い影響を与えます。一般的なエクササイズがメンタルヘルスを向上させることは周知の事実ですが、研究では、屋外での運動、特に緑豊かな環境下での運動が、認知機能と感情面にもメリットをもたらす可能性があると示唆されています。
キアラ・モンディーニはハイキングで日常から完全に離れると、戻ったときに集中力が高まり、リフレッシュした気分になると感じています。「私はハイキングから大切なことを学びました。本当に大切な瞬間に自分の人生と深く向き合うには、日常のあらゆる雑音を意図的に遮断しなければならないということです」
研究によると、自然豊かな環境で行う90分のウォーキングは、ストレスの緩和や不安の軽減だけでなく、全体的な気分の改善に効果があります。
6. 気分の向上
ハイキングは自己肯定感や気分の向上につながることがわかっています。「自然の中で身体を動かすと、本来の自分に戻ることができます」とモンディーニは語ります。適度な運動と、大自然に身を委ねること。この2つの相乗効果で視野が広がり、エンドルフィン(幸せホルモン)が放出されて、気持ちが自然と前向きになります。
モンディーニのように、多くの人がハイキングをすると、トレイルを歩き終えた後でも心身がすっきりし、落ち着き、精神的にリフレッシュされた感覚が残ると感じています。「トレイルに出かけて、あらゆる通知や都会の喧騒から離れると、日常から完全に切り離された時間を過ごすというこの上ない贅沢を味わえます。慌ただしい毎日から一歩離れることは逃避ではなく、必要な充電時間なのだと気づきました」
7. ストレスの軽減
自然の中で時間を過ごすと、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの値を下げ、精神的ストレスを軽減する効果があるとされています。シュトローマイヤーにとって、ハイキングとは自分をいたわることです。「ハイキングは、エネルギーを完全に使い果たして何とか家にたどり着くような過酷なスポーツではありません。実際はむしろ真逆です。心身ともに充電され、完全に前向きな気持ちで帰ってきます。ゆっくりとしたペースで歩くため、自分の周りの世界に目を向けて全身で感じとることができるのです」
自分の呼吸と足運びにのみ意識を集中させて瞑想状態に入ると、マインドフルネスが促され、日々の雑念から意識を遠ざけることができます。
8. 睡眠の改善
トレイルでの長い一日は、深く質の良い睡眠を促します。身体は疲れているものの、自然光を浴びることで体内時計が健康な状態に戻り、睡眠と起床のサイクルが規則正しく整うといった効果も期待できます。
研究では、アウトドアで過ごす時間とエクササイズを組み合わせることで、身体のリカバリーを司る徐波睡眠と呼ばれる深い眠りの時間が増え、目覚めたときに心身がすっきりとリチャージされることが示されています。
9. 集中力の強化
曲がりくねった道を進むには、今この瞬間に注意を向けなくてはなりません。そうすることで、目の前の世界に深く関わりながら歩く感覚が生まれます。ある研究では、自然の中で過ごす時間は、脳疲労の軽減や集中力の維持につながることが示されています。
モンディーニいわく、「高難度の下り坂であれこれ考える余裕はありません。極限まで集中し、気づけば今この瞬間に完全に没頭しているんですよね。こうして、走ることが私が本当に大好きな“絶えず続く美しい問題解決の時間”へと変わります。予測できない地形に合わせて調整していく感覚は、日常生活をうまく切り抜けるための、これ以上ない手がかりになるんです」
また多くの人が、アウトドアで過ごす時間はクリエイティビティや問題解決能力を高め、頭をすっきりと冴え渡らせる起爆剤になり得ると感じています。
10. 多くのアウトドアスポーツよりも低めのハードル
ハイキングは、高度な技術的スキルや高価な用具も必要なく、他のアウトドアのアクティビティよりも気軽に始められます。必要なのはサポートシューズまたはハイキングシューズのみ。後は道をたどるだけです。 ハイキングは、自分の体力や経験に合わせてレベルアップできます。最初は近場の短めの距離を歩き、自信がついてきたら徐々により長めの上級トレイルに進むのがおすすめです。
シュトローマイヤーはこうアドバイスします。「スポーツウォッチは置いていきましょう。山ではデータは当てになりません。ハイキングのすべてを教えてくれるわけでもないのです。誰かと自分を比べたりタイムを追いかけたりするのは止めて、自分のペースで進みましょう」
11. 自然とのつながり
アウトドアで過ごすひとときは、心と身体のウェルビーイングを大幅に高めます。短めのハイキングでも、気持ちをスローダウンさせるきっかけとなり、より静かで穏やかな時間を過ごせます。
シュトローマイヤーはミュンヘンからガルミッシュに移住しました。山のふもとへの引っ越しはそれまでの人生で最高の決断だったと話します。「仕事を始める前に山頂で日の出を拝めるのは、私にとってこの上ない幸せ。心を完全にリセットできる時間です。仕事を始める頃には心が静まり、エネルギーに満ちあふれ、頭がすっきりします」
12. コミュニティや社会とのつながり
ハイキングは一人でもできるアクティビティですが、つながりやコミュニティを築く機会にもなります。肩を並べて歩いたほうが、かしこまった交流の場よりも気分がリラックスして、会話も途切れずスムーズに弾むようになります。 シュトローマイヤーは友人とのハイキングが大好きだと語ります。「自然の中を歩いているときが一番、友達と本音で深く語り合うことができます」
モンディーニはこの点について次のように説明します。「アウトドアの真の魅力は、その土地のカルチャーの発見や、長年そこで暮らしてきた人たちとつながることです。そこの風景や自然の移り変わりをずっと見てきた地元の人たちの話は、自分のハイキングに深い意味を与えてくれます」
地元のハイキンググループに参加したり、友人と出かけたりすることは、モチベーションを高めるだけでなく、続けようという前向きな意識も生まれ、体験を共有する楽しさも味わえます。
ハイキングで目標にする頻度と距離
初めのうちはコースの厳しさよりも継続が重要です。最初から距離や標高を追い求めるのではなく、まずは持続できるルーティンの確立に集中しましょう。週に1回のハイキングでも心肺機能や筋力の強化、全体的なウェルビーイングに効果的です。
ある研究では、ハイキングで4,000歩歩くと、心身の健康の向上や長生きにつながることが示されています。特に長期間継続した場合にその効果がより高まるとされます。
次の手順で進めましょう。
平らな道から始める:高低差が大きい道や上級トレイルに進む前に、整備された平らな砂利道から始めましょう。
10%ルールに従う:1週間の総走行距離または獲得標高の増加分を10%以内に抑え、筋肉の回復を促します。
レベルアップはゆっくりと:平らな道で歩き慣れてきたら、起伏のある道や適度な登りを取り入れてみて、その後に複雑なトレイルに挑戦しましょう。
体の声に耳を傾ける:足首や膝の感覚に注意を払いましょう。短めのハイキングを高頻度で行うほうが、過酷なトレッキングをごくたまに行うよりも長続きするものです。モンディーニはこうアドバイスします。「トレイルに合わせてペースを調整しましょう。呼吸と歩調を合わせることに集中します。自然は勝ち負けを争う場所ではありません。学びの場なのですから」
ハイキングを試すべき理由
ハイキングの本質は、自然の中をただ歩くことです。効果を求めて何日も続けてハイキングしたり、高難度のコースに挑んだりする必要はありません。その効果は、舗装路から一歩踏み出した瞬間から得られます。
近くの森にある周回コースでも、起伏のある尾根道でも、どのような道でも、ハイキングは、アウトドアで身体を動かし続けることで筋力や持久力を養い、心をすっきり整えてくれるアクティビティです。今いる場所から自分のペースで歩き、後はトレイルに身を任せて進んでみましょう。
そしてまずはぜひ、Onのハイキングギアをチェックしてください。
よくある質問
ハイキングはワークアウトですか?
はい。ハイキングを通じて心肺持久力と、起伏のある道を歩くのに必要な機能的筋力を強化できます。ハイキングは全身を使う総合的なワークアウトです。室内の平坦な路面を歩くよりも、筋肉と心肺機能をしっかりと鍛えることができます。
ハイキングはウォーキングよりも効果的ですか?
必ずしもハイキングのほうが効果的とは言えません。どちらのエクササイズも健康に大きなメリットをもたらします。舗装路やランニングマシンでのウォーキングは一定した低負荷の運動として優れています。一方、ハイキングには起伏の変化や自然がもたらす負荷というメリットがあり、安定性を担う筋肉を多く刺激する効果もあります。
ハイキングには体力が求められますか?
いいえ。ハイキングを楽しむのに特別な体力は必要ありません。ハイキングは自分のフィットネスレベルや経験に合わせて調節できるエクササイズです。現在の体力に合ったコースを選び、自分のペースで進みましょう。短めの平坦なコースから始め、筋力や自信がついてきたら徐々に傾斜のあるコースに進むとよいでしょう。
ハイキングではどのような服装をすればよいですか?
ハイキングのウェアは、吸湿速乾性素材で重ね着しやすいものを選びましょう。靴はグリップ力に優れていること。難易度の高いトレッキングなら、例えばCloud 6 Waterproofがおすすめです。ハイキングギアは、変化しやすいトレイルの環境でも快適で安全に過ごせるものであることが大切です。






















