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アイスバス入門:​最適な​温度と​浸漬時間は?​

リカバリーメソッドの​一つと​して​人気が​高まっている​アイスバス​(​冷水浴)。​ただし効果を​上げるには、​正しい​やり方に​従う​必要が​あります。​適切な​水温は​?​浸かっている​時間は?​その​具体的な​方​法に​ついて、​テニス界の​星ベン・シェルトンと​ウェルネスの​専門家リッチ・ロールの​体験を​交えながら、​詳しく​アドバイスしましょう。

水辺で目を閉じ、フードを引き上げているランナー。
水辺で目を閉じ、フードを引き上げているランナー。

「アイスバスの冷たい水に飛び込むと、抗うつ作用が期待できるんです。気分が落ち着いて頭もクリアになり、かなり効果的ですよ」。ウルトラランナーで、ウェルネスを推進するポッドキャスターのリッチ・ロールは、2024年に映画監督ジャド・アパトーとの対談でこう語りました。

ロールの主張には科学的な裏付けがあります。身体を数分間、極度の低温にさらすクライオセラピー(冷却療法)は、ストレスの軽減や血行改善、集中力アップなどに効き目があり、アイスバスの人気の理由の一つになっています。 

一方、テニスで活躍するOnアスリートのベン・シェルトンは、アイスバスのもつ肉体面の効果を強調します。「リカバリーや筋肉痛対策に活用しています」と話す彼。「理学療法士がいなくても、怪我予防のために一人でできるのがいいですね」

また、メンタルを整えるにせよ、肉体的な疲労回復にせよ、それほど時間がかからないのも利点。人によって違いはありますが、ほんの数分間(最大でも20分)浸かるだけで効果を実感できます。 

ただし、適度にすることが大切です。浸かり過ぎや、やり過ぎては逆効果に。アイスバスはハードなトレーニングの後や、タフなレース後のリカバリー、心身ともに完全にリセットしたい時にぴったりだと言えるでしょう。

「運動後のリカバリーや筋肉痛対策にアイスバスを活用しています」— ベン・シェルトン

アイスバスの​具体的な​メリットは?​

アイスバスの魅力を簡単に言えば、生き生きと蘇るような感覚が得られること。IRONMAN 70.3でメダルを獲得したOnトライアスリートのフェネラ・ラングリッジは、この感覚を、高温の赤外線サウナの直後にアイスバスに入るというコントラスト療法で得ているそう。「高温のサウナから出てすぐに冷水に浸かると、血行が一気に回復するように感じる」と話す彼女。「その後の爽快感はすごいですよ」

冷水に浸かる快感だけでなく、アイスバスには次のようにさまざまな効能があります。

  • 筋肉痛や炎症の緩和:怪我をしたときのアイシングと同様、アイスバスには筋肉痛や炎症を緩和する作用があり、特にハードなランや筋力トレーニングの後に効果的です。

  • リカバリーの促進:血管の急速な収縮をもたらすアイスバスは腫れを緩和し、トレーニングの合間のリカバリーを促します

  • レジリエンスの向上:定期的な寒冷暴露は、一般に気分の改善やストレス耐性の向上につながります。免疫効果を指摘する調査研究もあり、例えば冷水シャワーを浴びる人は体調不良の日が少ないと言われます。 

  • 感情のコントロールをサポート:短時間、顔を冷水に浸けると、迷走神経が刺激されて副交感神経系が活性化し、闘争・迷走状態にあった身体が穏やかな状態へ移行することが知られています。

「高温のサウナから出てすぐに冷水に浸かると、血行が一気に回復するような感覚で、その後の爽快感はすごいですよ」— フェネラ・ラングリッジ

山岳風景の中、一本の川が平原を流れている。山岳風景の中、一本の川が平原を流れている。
森林に覆われた山を背景に、陽光が川面に差し込んでいる。森林に覆われた山を背景に、陽光が川面に差し込んでいる。

自宅で​アイスバスを​するには​

ベン・シェルトンは長距離移動の合間や休息日にアイスバスに入りますが、できることなら自宅でやる方が好きだそう。「フロリダの自宅にいるときは頻繁にアイスバスに浸かります。トレーニングルームに設置してあるんです」と彼は言います。「移動時にホテルのバスルームで準備するよりも簡単ですしね」

自宅でアイスバスをするには、水と氷を3:1の割合で混ぜた冷水をバスタブに準備します。体の特定の部位にターゲットを絞って浸かるといいでしょう。身体のどのくらいの割合を入れるかは、トレーニングのニーズや冷水への耐性によって異なります。 

バスタブがない場合は、子供用のビニールプールや、下半身を浸せるくらいの大きなごみ箱で代用してもかまいません。

ランナーなら、足、ふくらはぎ、大腿部を中心に浸かることができれば十分です。アイスバスの経験が豊富な人は全身で浸かりたいと思うかもしれません。慣れに合わせて、腰や背中下部まで沈めてください。

アイスバスの​適温は?​

水は0℃で凍りますが、アイスバスはそこまで低温にしなくても効果があります。多くの人にとって理想的な水温は10~15℃です。不要なリスクを避けながら、適切な生理的反応を期待できます。 

なお、水と氷を3:1の割合で混ぜる場合、この適温に達するまで10分程度待ちましょう。準備ができたら少しずつ浸かります。ショックを避けるため急激に飛び込んではいけません。

経験のレベル

適温範囲

推奨時間

初心者

13~16°C

2~5分間

定期的に利用

10~13°C

5~10分間

長年の経験あり

7~10°C

10~15分間

アイスバスには​どの​くらいの​時間浸かるべき?​

水温や各人の耐性により違いはありますが、アイスバスに入ると2~20分以内にほとんどの効果が表れるという調査結果が出ています。初心者の場合、数分間以上浸かっているのは難しいかもしれませんが、それは当然です。 

冷水への耐性は徐々についていくものだからです。アイスバスに入るたびに、不快感があっても冷静さを保つトレーニングにもなり、肉体的リカバリーとともにメンタルも強化できます。辛い状況でも“今、この瞬間”に集中するを養えば、トレーニング、レース、仕事、日々のストレス対策に役立ちます。 

アイスバスに​入っている​間、​心がけるべきことは?​

水から出るまであと何分と、ひたすら時計をみつめることになりがちですが、一番重要なのは呼吸をきちんとコントロールすることです。

冷水に入った瞬間、身体は自然な反応として衝撃を受け、呼吸は浅く、速くなります。しかし、ここで意識的に深く一定のペースで息を吸って吐くようにしましょう。神経系が整い、体の緊張がほぐれてきます。 

また、呼吸をコントロールすると血行も良くなります。呼吸が安定すると、身体が冷水に適応する間、筋肉を通じて酸素や栄養素が効率的に運ばれるようになるのです。 次のようなシンプルな呼吸法を試してみましょう。

  • 7秒かけて息を吸い込む

  • それを2秒キープ

  • 7秒かけて息を吐く

このパターンを繰り返しながら緊張を解いていきます。単に冷たさに耐えるのではなく、落ち着きを保つことを意識しましょう。

「辛い状況でも“今、この瞬間”に集中するを養えば、トレーニング、レース、仕事、日々のストレス対策に役立ちます」

アイスバスに慣れているアスリートの中には、脇の下や膝の裏といった皮膚が薄く冷たさに敏感な部分に両手を当てて浸かる人もいます。それらの部分の感覚に注力すると、“今、この瞬間”に意識を向け、冷水につかる緊張感をコントロールしやすくなります。

都会の風景をバックに、ランニング後の汗ばんだランナーが頭にタオルを乗せている。都会の風景をバックに、ランニング後の汗ばんだランナーが頭にタオルを乗せている。
トップスを肩にかけ、ショートパンツに視線を落とすランナー。トップスを肩にかけ、ショートパンツに視線を落とすランナー。

アイスバスの​危険性は?​

アイスバスは注意深く実践すれば通常、安全です。とはいえ、冷水に長く浸かれば浸かるほど身体は麻痺していくので、特に初心者は慎重に行う必要があります。アイスバスに初挑戦する前に、まず医師に相談することをおすすめします。 アイスバスのリスクとしては次のようなものがあります。

  • 筋力が一時的に低下し、水から上がりくくなる。初めての場合は、念のため誰かに近くにいてもらうといいでしょう。 

  • 過呼吸。冷水に入る時、反射的に息をのむために引き起こされることがあります。身体に過度のショックがかからないよう、ゆっくり徐々に浸かりましょう。

  • 凍傷や低体温症。ここで推奨する水温や時間を守ればまず心配はいりませんが、長時間浸かっていれば起こる危険性があります。

冷水への反応は人それぞれです。身体の感覚に注意を払い、違和感が生じたら慎重を期してください。

アイスバスから​上がった​後

所定の時間が過ぎたら、慌てて飛び出して滑ったりしないように気をつけましょう。ゆっくりと立ち上がり、温かいタオルで体を拭き、熱すぎない温水シャワーを浴びて身体を快適な状態に戻します。 

15~20分ほどで通常の感覚に戻れるはずです。それでもまだ冷えを感じる場合は、温かい飲み物や、保温性のあるレイヤー(例えばフーディー)の着用が役立ちます。

リカバリーの​ルーティンに​アイスバスを​取り入れよう

10℃程度の冷水に10~15分間浸かるアイスバスは、適切に取り入れれば、リカバリーを強化する手段になります。特にハードなトレーニングをした日や、ストレスが高まっている時、筋肉痛を緩和してメンタル面でも効果が期待できるこの方法をルーティンに加えて、心身の調子を整えてみませんか?

よく​ある​質問

10°Cの水温は、アイスバスとして適当ですか?

はい。水温10℃は推奨範囲の中ほどにあたり、ほとんどの人がアイスバスの効果を実感するのに十分な冷たさです。利用者の経験や耐性によりますが、アイスバスの水温は通常、温かめで16℃、ごく冷たくて7℃くらいと考えてください。

アイスバスに3分だけ浸かった場合の効果は?

たとえ3分間という短時間のアイスバスでも、気分の改善や炎症の軽減に役立ち、特に初心者には効果的です。

アイスバスの適切な頻度は?

たまに入るだけでもメリットがあります。まずは週1~2回から始めましょう。身体がどう反応するかをチェックし、そのうえで頻度を上げつつ感覚を確認していくといいでしょう。

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