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スキルレベル別 テニスワークアウト12選

ストレングスコーチ、​ガブリエル・エチェヴァリアと​トップ選手たちの​おすすめテニスワークアウトで​レベルアップを​狙いましょう。​筋力と​敏捷性を​鍛えながら​怪我も​予防できる、​ビギナーから​プロまで​実践したい​エクササイズを​ご紹介します。​

「卓越したアスリートには『天賦の才』があるとよく言われるが、これはいわば当然だ。彼らは全身全霊でその瞬間のパフォーマンスに集中し、頭ではなく直感とマッスルメモリーで反応する。自らの存在と動きが一体となっているのだ」――これは有名な作家、デヴィッド・フォスター・ウォレスの言葉です。幼い頃からスポーツに親しみ、選手として競技に打ち込んできた自身の経験から、彼はこう言い切ったのでした。イガ・シフィオンテクのプレーを数分でも観察してみれば、彼女の才能が天性のものだと言われるのも納得できるはずです。一方、対照的なのがゼンデイヤ。彼女は大ヒット映画『チャレンジャーズ』でプロテニス選手の役を見事に演じきり、「天賦の才」が、コーチから正しい指導を受けることで身につけられるものであることを証明してみせたのでした。


コートでのパフォーマンスを向上させる秘訣、それは実にシンプル――練習することです。米国生まれの神童ベン・シェルトンを指導したストレングス&コンディショニング・エキスパートのガブリエル・エチェヴァリアは、こう語ります。「確かに身体能力は重要ですが、テニスでは必ずしもそれが全てではありません。結局、一番ものをいうのはスキルですから」。エチェヴァリアは、テニスのワークアウトプランを「少量ずつ」取り入れることを奨励します。柔軟性や有酸素持久力、筋力増強のためのトレーニングを毎日、短時間でよいので行いましょう。これは、集中的なアプローチによって筋力を短期間で最大限に鍛え、全体的に身体を整えるための有効なエクササイズです。モロッコ出身のレダ・ベナニもこれに同意します。「敏捷性、心肺機能、筋力。この3つはどれも欠かせません。すばやく動けても持久力がないなら、レベルも強度も高いプレーを目指して両方のトレーニングが必要です」


しかし、怪我をしてしまったら元も子もありません。肩腱炎や肘の故障など、テニスにはリスクがつきもの。怪我の予防が鍵となります。押す動作よりも引く動作に重点を置き、肩の外旋エクササイズを取り入れることで筋肉のバランスが整います。「僕のワークアウトはどれも、身体を鍛え、怪我をしにくくするためのものです」と語るベナニは、膝の故障の予防として、毎週、多い時は3回アイスバスに入り、定期的にマッサージを受けています。たとえプロのように立派な施設でトレーナーによる指導を受けられなかったとしても、直感やマッスルメモリーを鍛えてコートでのパフォーマンスを向上させることは可能です。 


専門家も勧める12のテニスワークアウトをぜひ試してみてください。 

1. ウォームアップの​エクササイズ

コートで能力を発揮するには、まず柔軟運動と体幹の活性化、動的ストレッチといったウォームアップを行いましょう。「ウォームアップでは必ず最初にストレッチやモビリティー(可動性)エクササイズをするようにしています」と語るのは、ドイツ出身の期待の新星、ユリア・シュトゥセク。ここではまず筋肉をほぐし、関節の可動域を広げます。ねんざを避けるために、足首の安定性にもしっかり注意を向けましょう。シュトゥセクは現在、ウエイト系のトレーニングよりも「大臀筋の活性化」を重視しているといいます。関節や腱の疲労を防ぎ、怪我のリスクを避けるためには、ウォームアップに自重トレーニングを組み込むと効果的です。 


テニスはいつでもどの方向にも瞬時に動けなくてはならないスポーツ。スクワットや上半身をひねるランジをウォームアップのルーティンに加えて備えましょう。


フォワードランジ:

ウォームアップは、まず動的要素の高いフォワードランジから始めましょう。このエクササイズでは、臀筋と大腿四頭筋の活性化を意識することで、その後に続く本格的な動きに身体を慣らします。  


  1. 背をピンと伸ばし、足を腰幅に開いて立ちます。この時、つま先はまっすぐ前を向くように置きます。ここで体幹を意識すると姿勢が安定します。

  2. バランスを崩さないように気をつけながら片足を前に出し、かかとから足を下ろします。 

  3. 両足の膝を曲げ、前足の膝が90度(くるぶしのちょうど上)になるまで腰を落とします。この時、膝がつま先よりも前に出ないように注意しましょう。 

  4. 前足で地面を押し、最初の姿勢に戻ります。続けて反対側の足でも同じ動作を行います。 


片足につき10~12回、これを繰り返しましょう。腰に手を当てるとより安定します。難易度を上げたい場合はメディシンボールを持って、前足を踏み出した状態で上半身をひねりましょう。


サイドランジ: 

テニスは横への動きや急な方向転換が多く、筋肉がきちんと活性化されていないと負担がかかります。サイドランジでは臀筋、大腿四頭筋、内転筋を鍛えられ足腰がより安定するため、コートでの横方向への動きがコントロールしやすくなります。また、股関節の可動域が広がり、足首と膝の関節も強化されるため、怪我をしにくくなる効果も。 


  1. まずは右足を横へと踏み出します。この時、両方のつま先はまっすぐ前に向け、足の裏はしっかり床につけた状態にしましょう。 

  2. お尻を後ろにつき出し、右ひざを曲げながら体重を右サイドへと移動させます。左足はまっすぐに伸ばし、背中は丸めずに胸を張ります。バランスを取るには両腕を前に伸ばします。 

  3. 右のかかとで床を押して、スタートポジションに戻ります。

  4. この動きを数回リピートしたら、今度は左足にスイッチします。 


片足につき10~12回、繰り返しましょう。  


ヒップフレクサーストレッチ:

股関節の柔軟性は、大きく足を踏み出したりダッシュしたりすることの多いテニスには不可欠。このストレッチをすることで、コートでの全体的なモビリティーや安定性が向上します。


  1. 左膝を曲げて前に踏み出し、右足の膝を床につきます。背をピンと伸ばし、体幹を意識することでバランスを取ります。 

  2. そのままの姿勢で、右側の股関節の前側にストレッチを感じるまで身体を前方にスライドさせます。 

  3. お尻の筋肉を引き締め、上半身と腰を前の左脚に近づけます。

  4. 骨盤を軽く丸め込みさらにストレッチさせたら深呼吸。 


10~15秒この姿勢を保ちましょう。次に左膝をついて同じことを繰り返します。このストレッチを2~3セット行いましょう。 

スパイダーマン ウォームアップ:

全身を使うこのエクササイズでは、股関節の可動域が広がり柔軟性も向上。安定性も養われ、すばやさを求められるテニスの動きに役に立ちます。スパイダーマン ウォームアップは、筋肉を活性化させゲームでの制御の効いた力強い動きを可能にするため、「非常におすすめ」とエチェヴァリアは言います。


  1. まずはハイプランク(腕立て伏せ)の姿勢から始めます。肩幅に広げた腕をまっすぐ伸ばし、体幹に力を入れましょう。 

  2. 右足を前へと動かし、右手の外の位置に置きます。左手はしっかり床につけたままにしましょう。 

  3. 右腕を持ち上げ、前へ踏み出した脚の方へ近づけます。 

  4. 最初のハイプランクの姿勢へと戻ります。左右の足は揃えた状態にします。 

  5. 左側でも同じ動きを繰り返します。 


これを左右10回ずつ2~3セットほど行いましょう。足をそれほど前まで動かすことが困難な場合は、後ろ足を伸ばした状態を基本にしつつ、必要に応じて膝を曲げても構いません。  

2. プライオメトリクス ボックスジャンプ

力強い両足を養うためのエクササイズがボックスジャンプ。「コート上のパワーは足から来るものです。肩や腕の動きは、足元から発せられる力の余波にすぎません」と、エチェヴァリアは説明します。「瞬発力を鍛えるのにボックスジャンプはとても効果的です。高く跳べるということは、それだけ瞬時に加速できるということですから」。  高さを上げるほど強度も増すため、ジャンプを繰り返すことでサーブと瞬間的な動きを鍛えることが可能に。足元から身体へ、そしてラケットへとエネルギーを伝えていくサーブの運動連鎖を模倣するのがこのエクササイズです。 

  1. ボックスは自分のスキルに合ったものを選びましょう。無理のないところから始めて、慣れたら徐々に高さを上げます。

  2. 腰の幅に足を開いて立ち、ジャンプしながら腕を前へと振ります。跳ね上がる際には、拇指球に力を入れて地面を蹴り上げましょう。 

  3. 膝を軽く曲げた状態でボックスの上に優しく着地します。勢いを使って動きをコントロールしましょう。 

  4. 背をまっすぐ伸ばし、腰を後ろに突き出した状態で膝を曲げるのが正しい姿勢です。

  5. ビギナーは、安全を期して片足ずつボックスから降りましょう。また、最初は低めでソフトなプライオメトリクスボックスを使うことで、すねをぶつけることもなく、徐々に自信が持てるようになります。慣れてきたらジャンプしてボックスから降りましょう。

5~10回のジャンプを3~4セット行います。ボックスの高さやジャンプの回数は、スキルに合わせて調整してください。ここで大切なのは、より高く跳ぶことではなく正しいフォームを身につけること。それにより、怪我をすることなく最大限パワーを発揮することができます。 

3. カーフレイズ

接地時間を抑えることですばやい動きを可能にし、パワーを生み出すのに非常に有効なのがカーフレイズ。「鎖の強さは最も弱い輪で決まる、と言いますよね」とエチェヴァリアは説明します。足首の剛性を高め、特にアキレス腱の怪我を防ぐのに、ふくらはぎは重要な役目を果たします。ウォームアップに最適なエクササイズです。 

カーフレイズは裸足でするよう、エチェヴァリアは勧めます。裸足だと足の内在筋が活性化され、足首がより安定してねんざしにくくなるからです。「足首はねんざの多い部位なので、強化する動きを必ずルーティンに加えましょう」とエチェヴァリア。カーフレイズは腓腹筋とヒラメ筋を集中的に鍛え、下腿が強くなるとともに足首が安定し可動域も広がる、テニスのパフォーマンスには欠かせないエクササイズです。

  1. 腰幅に足を開いて立ちます。背筋を伸ばし、つま先はまっすぐ前方向に向けます。

  2. 拇指球に体重を移動したら、つま先で立ちます。 

  3. 次にかかとを下ろし、同じ動きをリピートします。 

これを12~15回、2~3セット行いましょう。壁に手をついてバランスを取るところから始めて、平らでない場所で行う、足首にウエイトを装着し強度を高める、など、レベルアップしていくことも可能です。

4. ダンベル クロスオーバーステップアップ

「上下の動きを鍛えるだけでは不十分です」とエチェヴァリアは言います。「(テニスは)横の動きが多いですからね。前後の動き、横への動き、そして方向転換もできるようにしなくてはなりません」。ダンベルを使ったクロスオーバーステップアップは、テニスでは常に必要となる特定の角度で発揮したい筋力強化を効果的に行えます。「正に理想のエクササイズです」とエチェヴァリア。ここではショット後のクロスオーバーステップと同じ動きをしながら、臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングを強化。股関節の可動域を広げつつ、柔軟性やバランス感覚も養います。ダンベルやウエイトを利用して負荷と抵抗角度を増やすことで、怪我の予防にもなります。 

  1. ダンベルを両手に持ち身体の側面に構え、しっかりした台の横に立ちます。  

  2. 台から離れた方の足を軸足の前でクロスさせ、台の上に乗せます。 

  3. 乗せた方の足に力を入れてプッシュ。体重を移動させ、両足の膝を伸ばした状態で台の上に立ちます。 

  4. 体幹を使ってバランスを取り、臀筋を引き締めてコントロールしながらリフトアップしましょう。 

  5. そして降りたら最初の姿勢に戻ります。このエクササイズでは、最初に台に乗せた方の足の筋力を鍛えることを意識します。膝が内側に崩れないように気をつけながら、しっかり安定させてください。 

  6. 反対の足でも同じ動きを繰り返します。  

片足につき10~12回を2~3セット行い、徐々に強度を上げていきます。 

5. ラテラルジャンプ

「スケータージャンプ」とも呼ばれるラテラルジャンプでは、テニスの基本ともいえる横への動きを練習できます。「横向きに力を加えることは、リカバリーやコートでの横方向の走りを鍛えるのに重要です」とエチェヴァリア。足首の安定性と鼠径部の筋力を強化するこのエクササイズによって、スクワットで使う筋肉(大腿四頭筋、体幹、ハムストリング、臀筋)を集中的に鍛え、漸進的過負荷の原理(徐々に負荷を高めていくこと)に則りながら、より爆発的な動きができるようになります。

  1. 足を肩幅に開いて立ち、膝を軽く曲げ、身体を横向きに構えます。 

  2. ハーフスクワットの状態まで腰を落とし、ハムストリングと体幹に力を入れます。 

  3. 片足(たとえば右足)で地面をプッシュして横へ跳んだら、反対の足(左足)で着地します。 

  4. 横へのジャンプを流れるように繰り返しましょう。着地は足の外側を使ってソフトに。滑らかで途切れのない動きを意識します。

  5. 着地したら、姿勢が崩れないように一瞬止まります。  

まずは片足につき5回、合計10回行いながら、徐々に回数を増やしましょう。ウエイトを加えて強度を高めるなら、きちんとホールドするバランスの良いものを選ぶのがポイント。身体にぴったりフィットするリュックなら、安定して動きも妨げないので安心です。

6. ボックスドリル

フルボディーエクササイズとしてテニス選手に人気のボックスドリル。ボクシングのフットワークを使って、テニスに必要な横の動きを集中的に鍛えます。「重要なのは次のショットを読まれないようにすること。自分の戦略を明らかにせず実行に移すのです。要は攻撃と防御ですね」とエチェヴァリア。上半身に注目されがちなテニスですが、パワーの源は腰と足元。このドリルでは、コートを支配するのに必要不可欠なフットワークやすばやい方向転換、横への敏捷性を鍛えます。  

  1. 1辺が約1.5mになるようにコーンを四角形に置きます。 

  2. 真ん中に立ち、足を肩幅に開いて膝を曲げます。 

  3. 前方左のコーンへと、すばやい小刻みなステップで進みます。腰は落とし、軽い足取りで。 

  4. 身体をまっすぐ正面に向けたまま、横へと動き2番目のコーンに向かいます。 

  5. 最初のパワーポジションをキープしたまま3番目のコーンへと後ろ向きに進みます。 

  6. 再度、正面を向いたまま横へのステップで4番目のコーンに向かい、最後に中心へと戻ります。 

  7. これを30~60秒間、安定したすばやい動きを意識しながら繰り返しましょう。

慣れてきたら負荷を加え、スピードを上げます。試合での動きをイメージしながら、各コーンに着いたらフォアハンドやバックハンドのスイングを加えるのも良いでしょう。

7. ゴブレットスクワット

背中、臀筋、大腿四頭筋を鍛えるゴブレットスクワットは、怪我予防にも有効な基本的エクササイズです。胸元にウエイトを構えることで体幹も強化され、運動連鎖が向上します。テニス特有の動きを模倣するには、左右への回転を加えたり、重めのウエイトを使用したりしましょう。  

  1. 両手でケトルベルの下の部分を支えるか、ダンベルを縦にして、片方のウエイト部分を両手で下から包むようにして胸の前で持ちます。 

  2. ウエイトを胸元に添えたまま、膝とつま先が同じ方向を向くように立ちます。 

  3. 息を吸い、腰を突き出すようにしてスクワット。体幹を引き締め、上半身をまっすぐ伸ばしましょう。   

  4. 腰を落としていくと、ウエイトを持った手の肘が両膝の間にきますが、触れないように注意。 

  5. かかとを踏み込み足を伸ばしてスタートポジションに戻ります。この時、足をしっかり地面につけ、かかとが浮かないように気をつけます。 

これを10~15回、2~3セット行いましょう。フィットネスレベルに合わせて回数やウエイトの重量を調整してください。

8. 片足スクワット

英語圏で「ピストルスクワット」と呼ばれるこのスクワットは、片足ずつ鍛えながらバランス感覚を養うエクササイズです。特に足首部分に大きな動きが求められるため、しっかりとウォームアップを行い、正しいフォームを身につけましょう。臀筋、ハムストリング、ふくらはぎ、大腿四頭筋、体幹、股関節屈筋は、コートでの急な方向転換の際に鍵を握る部位。そこを強化します。  

  1. 肩幅に足を開き、膝を軽く曲げて立ちます。  

  2. 体幹を意識しながら、猫背にならないよう肩を腰の上の位置に保ちます。頭は正面を向き顎を引きましょう。 

  3. 片足を軽く上げ、軸足の足裏全体に均一に体重を乗せます。 

  4. 両手を前に伸ばし、軸足を曲げます。上げた方の足はまっすぐ前に伸ばします。  

  5. 伸ばした足が床と並行になるようバランスを取りながら、軸足をできるだけ深く曲げます。 

  6. 一番深く曲がった地点で一瞬止めたら、軸足で強く押して立ち上がります。  

片足につき1~5回繰り返します。これを3~5セットできるように頑張りましょう。

9. ケーブルローテーション

ケーブルローテーションでは回旋と抗回旋の力を鍛えることで、腹斜筋、腹直筋、腹横筋からなる体幹を強化します。回旋の力がつくことで、強力なスイングが可能になり、コート上で安定感のあるコントロールの利いたプレーができるようになります。胴部分にしっかりした筋肉がついていると、スピードのあるダイナミックな動きをしてもブレません。パフォーマンスも向上し、怪我もしにくくなります。テニスのスキルを磨くのと同時に、ジムでのワークアウトを行う重要性をベナニはこう語ります。「サーブが上手くなりたいなら、ジムで上半身の強化を図るべきです」。このエクササイズで、ひねりと戻しの力をつけましょう。  

  1. ケーブルマシンを胸の高さに調整したら、ハンドルを装着します。

  2. マシンを横にする形で立ちます。足は肩幅よりも少し広めに開き、ハンドルは両手で持ちましょう。マシンに近い方の足に体重を移動させながら、上半身をマシンの方向に向けます。 

  3. ハンドルを引きながら、上半身をマシンと反対方向にひねります。この時、体重ももう片方の足に移動させます。 

  4. 腕をまっすぐ伸ばし、体幹を意識しながら行いましょう。 

  5. 動きをコントロールしながら、ゆっくりと最初の位置へと戻していきます。反対側でも同じように繰り返します。 

10~12回を2~3セットこなしましょう。ケーブルマシンがない場合は、エクササイズバンドを固定された場所に取りつけて行いましょう。 

10. メディシンボールの​片手投げ

メディシンボールを片手で投げるこのエクササイズでは、回旋筋力がつきます。肩、上腕三頭筋、体幹を鍛えることで、サーブやオーバーヘッドスマッシュのパワーアップが狙えます。シュトゥセクも、サーブの腕を磨くために、メディシンボールで上腕三頭筋と肩を鍛えています。 

  1. 投げやすいメディシンボールを選びます。繰り返し同じ動きをしても疲れず、フォームが崩れないよう、重すぎないものにしましょう。 

  2. 肩幅に足を開き、壁に向かって立ちます。より力を込めるには、軽くランジするように足を踏み出しましょう。

  3. 右手でボールを持ったら頭上に掲げ、息を吸います。

  4. 息を吐き、ランジしながら壁に向かって力強くボールを投げます。 

  5. 体幹と上腕三頭筋の筋力を使って、スピードと勢いをつけるようにしましょう。 

  6. 跳ね返ったボールはキャッチしても、転がるに任せてもオーケーです。これをリピートしましょう。

この動きを10回、3~4セット行いましょう。 筋肉のアンバランスを避けるため、反対側の腕に持ち替えて同じ回数をこなします。 

11. ラインドリル

ワークアウトも終わりに近づき、ラストスパートにぴったりなのがラインドリル。疲れた足の無酸素性運動能力を向上させましょう。高負荷のスプリントでセッションを締めくくることが多いというシュトゥセクは、エクササイズにはクッショニングのきいたCloudsurferを、クレーコートではサポート性の高いTHE ROGER Pro Clayを愛用しているそう。  

  1. 十分な広さのある場所に、ラインやマーカーをスタート地点からだんだん遠くへ、間隔を開けながら設置します。これが方向転換する位置の目印になります。 

  2. 最初のラインまで全力でダッシュし、地面をタッチしたら走ってスタート地点へ戻ります。 

  3. 次はさらに距離の離れた2番目のラインまで走り、タッチして戻ります。これを繰り返します。 

  4. 最後は一番遠くにあるラインに触れたら、スプリントしてスタート地点へと戻ります。  

以上のセットを1分以内でこなすことを目指しましょう。各セットの間で1分ずつ休憩します。まずは2~3セットから始めて、慣れたら4~5セットを行うことで持久力を養いましょう。 

12. ハンギングレッグレイズ

ワークアウトの仕上げには、懸垂マシンやラックなど固定されたバーにつかまってニーレイズを行います。これは腹筋、腹斜筋、股関節屈筋と同時に全身を鍛えられる最高の腹筋トレーニングです。テニスの加速フェーズに必要な前部体幹と股関節屈筋を強化しながら、激しいスクワットで負担のかかった背骨への圧力をゆるめます。  

  1. バーを掴みぶら下がります。高すぎて届かない場合は台を使いましょう。足は自然に下に垂らし、体幹を引き締めます。  

  2. 腹筋に力を入れたら骨盤を丸めて持ち上げ、膝を曲げて胸に引き寄せます。  

  3. 単に腰を曲げるのではなく、頸椎の一つひとつを順番に動かすことを意識しましょう。  

  4. ゆっくりとした動きで足を下ろします。この動きを繰り返します。 

これを10~15回、3セット行うようにしましょう。

プロ選手も勧めるこれらのワークアウト。コート上で求められる敏捷性や持久力、パワーを養うために、自分に必要な要素を考慮してプログラムをカスタマイズしましょう。高負荷のドリルでも抜群のサポート力を発揮するのが、THE ROGER Pro 2。急な方向転換やスプリントでも頼りになります。テニスでは、幅広いトレーニングが求められます。ゲームの腕を上げ怪我を防ぐには、筋力、コンディショニング、モビリティをバランスよく向上させましょう。Onのテニスギアをまとったら、さあ、練習開始です。 

よく​ある​質問

パフォーマンスをアップし、怪我しにくい身体を作るためのテニスワークアウト。よくある質問に対する答えをまとめました。  

どのくらいの頻度でテニスのワークアウトを行うべき? 

効果的にトレーニングを行うには、週ごとに、基本となる3つの要素である筋力/パワー、コンディショニング、モビリティ/ストレッチに重点を置きましょう。筋力トレーニングでは、テニスで必要となる動きを模倣するもの、たとえばランジやメディシンボールを使った回旋動作などのフルボディーエクササイズを週2~3回行います。「テニスで求められる動きになるべく近づけるために、筋トレにはバランスや身体をひねる動きを加えましょう」とエチェヴァリア。

コンディショニングでは、高負荷のインターバルトレーニングを中心に無酸素性運動能力を鍛えます。リカバリーには、低負荷の有酸素運動を軽く取り入れましょう。そして、ヨガなどでしっかりストレッチすることで、柔軟で可動域の広い身体づくりを目指します。これらのセッションは曜日ごとに分けて行うもよし、複数を組み合わせるもよし。筋トレ後にヨガでクールダウンするなど、バランスの取れたテニスワークアウトのルーティンを組みましょう。 

自重トレーニングはテニスにも効果がある?

もちろん。自重トレーニングをすることで、テニスに必要な筋力と身体コントロールが身につきます。ランジやスクワット、腕立て伏せ、懸垂など身体の基礎を作ってくれるワークアウトに取り組むことで、全体的な運動能力も向上します。

テニス的な動きを意識するなら、上半身をひねるスクワットをしながらメディシンボールを手に持ち体幹を鍛えたり、ボールを使った腕立て伏せで肩の安定性をアップしたりするのも効果的。最低限の道具しか使わないこれらのエクササイズでも、テニスの動きをかなり忠実に再現できます。ルーティンに加えることで、トレーニングの質がぐっと上がります。

テニスワークアウト中の怪我を防ぐには? 

テニスワークアウトで怪我をしないためには、ウォームアップとクールダウンを絶対に欠かさないことです。特に肩回りは大事にするようにしましょう。エチェヴァリアが「メンテナンス・ルーティン」と呼ぶこれらのエクササイズには、肩サポーターがマストアイテム。繰り返しの回転動作による疲労から肩回旋筋板を守ってくれます。

各セッションを始める前に、5~10分ほどかけて内旋を使い肩の筋肉を活性化し、安定させましょう。肩の回復力をアップして、怪我をしにくくするシンプルなこのルーティンは、プロ選手はもちろん、ビギナーにもお勧めです。