
新色
THE ROGER Pro
メンズ – テニス ハードコート
3カラー
¥25,300
テニスの腕を上げるシンプルな方法は、フォアハンドをマスターすること。テクニックが向上する5つの基本ステップを、プロ選手のフラビオ・コボッリに聞きました。
始まりはスイングでした。2024年のムバダラ・シティDCオープンはシングルス準決勝でOnのプレーヤー同士が対決。フラビオ・コボッリが、大会屈指の豪速サーブを繰り出すランキング2位のベン・シェルトンに挑みました。パワフルなサーブでペースを握るシェルトンに対し、コボッリには、持ち前の反射神経で対応する以上の強力な攻め手が必要でした。
彼が頼りにしたもの、それは正確かつ絶妙なタイミングのフォアハンドでした。優れたテクニックとパワー、そしてショットのプレースメントを巧みにバランスさせながら、コボッリはシェルトンのサーブ攻勢をかわすと同時にラリーで強みを発揮し、見事決勝進出を決めたのでした。
テニスの初心者なら、いきなり時速240kmのサーブを打ち込まれる心配はないかもしれません。しかし、知っておくべきことは同じです。フォアハンドを固めれば、ラリーを継続でき、自信をもってプレーできます。このガイドでは、プロのように自然に、スムーズで強力なフォアハンドを打てるようになる方法をステップ・バイ・ステップで説明していきます。
「フォアハンドは最も習得しやすいショットですが、テニス初心者にはやはりとても難しいものです」と話すコボッリ。優れたフォアハンドの基礎となるのはグリップ(ラケットの握り方)で、スピンや、パワーや、ボールのコントロールを左右します。グリップには次のようにいくつかの種類があるので、自分に合ったものを選びましょう。スムーズで自然なフォアハンドを打てるようになります。
- イースタングリップ:コボッリが初心者にすすめるのは、パワーとコントロールをバランスよくミックスできるイースタングリップです。人と握手するようにラケットを握るこのグリップは、フラットなショットを押し出すように打つのに適しています。習得しやすいのが利点ですが、より上級のグリップと比べてトップスピンをかけにくいのが特徴です。
- コンチネンタルグリップ:このクラシックなグリップは、サーブやボレー、スライスを打つ時によく使われます。金づちで打つ時のように、人差し指の第3関節(付け根の関節)をラケットの柄のベベル(八角形のラケットの柄のそれぞれの辺)の2番に当てて握ります。幅広い打ち方ができるので便利ですが、今日のハイスピードのゲームで必須となるトップスピンをかけにくいため、プレーヤーがフォアハンドで使うことは少なくなっています。
- セミ-ウエスタングリップ:現在、多くのプレーヤーが採用しているグリップです。人差し指の第3関節をベベル4番に置き、手がハンドルのやや下にくるように持ちます。トップスピンを自然にかけやすいのが特徴で、ショットをキープしながらネットをクリアするのに有効です。特にクレーコートとハードコートで威力を発揮するグリップです。
- フル-ウェスタングリップ:トップスピンに最適のグリップ。人差し指の第3関節をベベル5番に置き、手がハンドルのほぼ真下に入るように持ちます。スピンと高いネットクリアランスを得意とするベースラインプレーヤーにぴったりのグリップです。
グリップは自分のプレースタイルに合致したものにしましょう。傾向としては、フラットヒッターはイースタングリップ、スピンを多用するプレーヤーはセミウェスタンかフルウェスタンを採用しています。いろいろなグリップを試して、一番しっくりくるのはどれかをチェックするといいでしょう。
姿勢がしっかりしているとフォアハンドのパワーとコントロールが安定します。正しい準備姿勢をとって上達を目指しましょう。
最初にパワーポジションを作ります。足を肩幅に開き、両ひざを軽く曲げて、足裏の拇指球(土踏まずと足指の間のふくらみ)に重心を置くようにして立ってください。この姿勢をとれば身軽にすぐ反応できます。
対戦者がボールを打つタイミングでスプリットステップを踏みます。軽くホップしてバランスを立て直しておくことで、どんな方向にもすばやく跳び出せます。
ボールを追いかけつつスタンス(両脚の構え)を調整します。多くのプレーヤーが採用しているのが、すばやくリカバリーできるオープンスタンス(両足をベースラインに平行に置くスタンス)、または安定感に優れたニュートラルスタンス(横向きで、前方の足のつま先をネットに向けるスタンス)です。
重心を移動しつつパワーをためます。ニュートラルスタンスの場合、重心をまず後ろの足に置いてから前へ一気に押し出します。オープンスタンスであれば、腰と肩を回転させながらショットに力を込めます。
低姿勢をキープ。両ひざを軽く曲げて足をしっかり地面につき、バランスとパワーを高めます。棒立ちは、次に動くタイミングが狂うのでやめましょう。
強力なショットをスムーズに打つには、早めに準備態勢に入ります。弓を引くようなイメージで正しく構えれば、その分いいショットが打てるはずです。
肩と腰を後ろに引く:最初に動かすのは腕ではありません。ボールが飛んでくるのを見たらすぐに肩と腰を横から後ろに引きます。
ラケットをテイクバック:利き手でない方の手でラケットを誘導すれば、腕をリラックスさせたまま安定を保てます。
コンパクトにコントロール:バックスイングは大き過ぎず、小さ過ぎず。パワーのバランスをとりつつ、スピードが落ちない程度に振ります。ラケットヘッドは肩より下に保ち、やや角度をつけて構えれば、前方にスムーズにスイングできる体勢になります。
良いバックスイングは無理のない自然な動きです。スムーズな動作で体勢を作っておくとショットのタイミングを合わせやすく、すっきりとパワフルなフォアハンドを打てるようになります。
フォアハンドは慌ててやるとコントロールを失い、ゆっくり過ぎれば十分なパワーが出ません。完璧なタイミングで流れるように加速してスイングするために、次のような動きのメカニズムをしっかり理解しておきましょう。
スイングの開始:バックスイング完了後、ゆっくり振り戻りながら打点まで徐々にスピードアップします。腕ではなく両脚と体幹を使ってスイングに力をこめます。
腕の動き:前方にスイングすると手が自然と回転し、振り抜いた時は手のひらが下を向いています。このプロネーション(回内)の動きでトップスピンがかかるようになれば、ボールの飛距離をコントロールできます。
打点:フォアハンドの打点はほとんどの場合、身体の正面のやや横、腰のあたりの高さを想定します。身体に近過ぎたり、後方に下がり過ぎたりすると、パワーも角度も制限されてしまいます。
フォロースルー:ボールを打った後はそのまま身体を包むようにスイングを続けます。トップスピンのフォアハンドを打ったら、ラケットは肩の上か、反対側の肩のあたりまで振り切れるはずです。
フォアハンドは、スイングの各構成部分が次から次へと連鎖反応していくような動作だと考えればいいでしょう。正しいタイミングと適切なハンドローテーション、それに加速のコントロールがしっかりしていれば、パワフルで安定したショットを打つことができます。
フォアハンドのフィニッシュは、スイングそのものと同じくらい大切です。滑らかに振り抜くことができれば、リズムとコントロールが安定するだけでなく次のショットに移行しやすくなります。体幹を意識して、前や後ろに傾き過ぎないこと。両脚で地面をしっかり捉えつつリラックスした状態でスイングを終えましょう。
足指の付け根の部分でバランスを取り、フットワークを軽く保ちながら、すばやく体勢を立て直します。スピード感のある小さなリカバリーステップを刻みながら、前後、左右、どの方向にも踏み出せるよう準備します。ボールを打ち、フィニッシュしたら、次のショットに備えてリカバリーする――フォアハンドはいわば、1つの完全なサイクル。フィニッシュが良ければ、次の動きへすぐにつなげることができます。
ベストプレーヤーでもミスは犯してしまうものです。効果的なショットを打てるようになるために、ここでは、よく見られるフォアハンドのミスとその対処法をご紹介します。
- ボールを打つタイミングが早過ぎる、または遅すぎる:ボールを打つのが早過ぎると、ラケット面が伏せ気味になりショットが弱くなります。一方、遅過ぎてもラケット面が上を向いてしまい、ショットにブレが生じます。ボールの軌道に注意を払い、身体の前の一定の打点で安定的に打ち返せるようにしてください。球出し機やパートナーの力を借りながらタイミングの練習をするといいでしょう。
- 手首や腕を使いすぎる:手首と腕の動きに頼り過ぎるとショットが不安定になり、怪我もしやすくなります。身体の大きな筋肉群を使った、スムーズで流れるようなスイングを心がけましょう。手首はリラックスさせながらもぐらつかないようにし、スナップを利かせるのではなく自然に回転させます。そして両脚と体幹を使ってパワーを生み出し、コイルばねが弾んで元に戻るようなイメージで身体を動かしながらショットにつなげます。
- フットワークが弱い:立っている時に足の裏をべったりと地面につけていたり、足の位置を調整しなかったりすると、ボールを拾いにくくなりショットのバランスも崩れます。フットワークのドリルを参考に、足のポジショニングを調整し、機敏に動けるよう練習しましょう。ボールの軌道にシンクロしながら、小刻みにすばやくステップを踏むようにしてください。
フォアハンドをマスターすることは、テニスプレーヤーとしての成長の大きな一歩です。ゲームのレベルアップを狙うなら、正確なサーブと鋭いバックハンドの腕も磨き、メンタルを鍛えて、バランスよく俊敏にコートを動き回れるようになりましょう。