

初心者でも中級者でも上級者ランナーでも、食事の内容はパフォーマンスに大きく響きます。食べるものはすべて、良くも悪くもトレーニングに影響を与えます。
食事やダイエットに関して言えば、万人に合う手段や解決方法はありません。人の好みや求めるものは、それぞれ違うからです。ただ、ランニング前の栄養補給に最適な食べ物についての情報は、ほとんど一致しています。
いつもより長い距離を走るのであれば、前もって食べておくことはさらに重要です。ランナーズワールドによると、60~90分以下のランニングの場合、体には十分な量のグリコーゲンが蓄えられているため、事前に食べる必要はありません。しかし、空腹で走ることがすべての人に適しているわけではありません。空腹で走ると、途中でエネルギーが尽きたように感じることもあります。
タイミングは重要です。おなかがいっぱいの状態で走っても楽しくありません。胃の中にある食べ物が上下に揺れ動くのを感じるだけでなく、走る直前に食べると、けいれんや脇腹の痛みにつながり、ランニング中に不快感が続く可能性があります。
走る前に食事をとりたい場合は、ランニングの約2時間前に300~400カロリーを摂取することを、専門家は推奨しています。ボリュームのある食事をした時は、食べ物を消化するスピードに応じて、もう少し長く待つと良いかもしれません。
一般的なルールとして、ランニング前に食事をする場合は、炭水化物を多く含むものを食べるようにしましょう。少量のタンパク質(炭水化物と4:1の比率)は問題ありませんが、脂肪や食物繊維は一般的に消化に時間がかかることから、パフォーマンスに影響を与える可能性があるため、摂り過ぎないようにしましょう。
コーヒー
カフェインを摂取すると、より速く、より遠くまで走れるようになるため、一杯のブラックコーヒーを飲むことで、ランニングパフォーマンスを高めることができます。複数の研究で、ランニングの約1時間前に少量のコーヒーを飲むと良いことが分かっています。また、コーヒーで体が脱水状態になることはありません。ただ、利尿作用はあるので、いつもよりトイレに行く回数が増えるかもしれません。コーヒーがランニングにどのような影響を及ぼすかについては、ランナーズワールドの記事に良くまとめられています。
バナナ
バナナは優れたエネルギー源として良く知られています。バナナは消化を助け、肌や血圧にも良い効果を及ぼします。また、抗酸化物質やカリウム(バナナ1本当たり約400mg)も含まれているため、筋肉のけいれんを抑えるのに役立ちます。オレンジやブルーベリーも走る前に食べると良いとされています。
ピーナッツバターまたはアーモンドバター
あとに出てくるコメントでも分かるように、ナッツバターは、Onの一部のアスリートたちのお気に入りです。そして、それは理にかなっています。アーモンドとピーナッツには、ビタミンE(抗酸化物質)、鉄、カルシウム、カリウムが含まれています。どちらも一価不飽和脂肪を多く含んでいますが、これは心臓疾患のリスクの低下に関連していることが分かっています。まとめると、アーモンドの方がわずかに健康的(栄養素が多い)で、ピーナッツの方がわずかにタンパク質量が多い。そして、脂肪の含有量の面では、どちらもほぼ同じです。
マルチグレイン(多種穀物)または全粒粉のパン
茶色の全粒粉(およびマルチグレイン)のパンは、加工された白いパンよりも栄養価が高く、走る前の手軽な軽食として最適です。徐放性炭水化物が豊富に含まれているため、ランニング中はずっとエネルギッシュに走れます。
オーツ麦
これもまた、おそらく驚くに当たらない食品です。オーツ麦は滋養分(ビタミン、ミネラル、抗酸化物質)が豊富で、ゆっくりとエネルギーに変わっていくため、ランニングでずっとエネルギーを供給し続けます。競走馬にとって十分ならば、あなたにとっても十分ということ。Healthlineのこの記事で、栄養価について分かります。
ヨーグルト
ヨーグルトには炭水化物とタンパク質がバランス良く含まれているので、ランニングの前におすすめです。また、骨の健康に良いカルシウムと腸に良いプロバイオティクスも含まれています。ただし、中には、パッケージに記載されているほど健康的ではないヨーグルトもあります。砂糖の含有量には注意しましょう。甘いものが好きな人は、はちみつ、アガベシロップ、メープルシロップ、ステビア抽出物など、砂糖の代わりになる健康的な甘味料を選ぶと良いかもしれません。乳糖が体に合わない人や乳製品が苦手な人は、豆乳や米、ココナッツミルクから作られたヨーグルトなど、ほかの選択肢もあります。
卵
長時間のランニングを計画していて、走る前にしっかりと消化できる時間がある場合は、卵も良い選択です。卵はとても栄養価が高く、タンパク質と健康的な脂肪が含まれています。9種類のアミノ酸(タンパク質を構成する要素)すべてが含まれている、100点満点のタンパク源です。
ダークチョコレート
研究によると、ダークチョコレートは炎症を抑え、有酸素能力または最大酸素摂取量(VO2max)を高め(真面目な話です)、より遠くまで走るのに役立ちます。血圧やコレステロール値を下げるとも言われています。また、ダークチョコレートは幸福感をもたらす脳内物質のエンドルフィンを放出させる働きをします。ただし、摂取量やチョコレートの質は重要です。一般的に、カカオ含有量が多いほど良いと言われています。
トレイルランニングデュオの、ケイティ・シデ選手とジェルマン・グランジェ選手
グランジェ選手は「朝走る前に、必ず水分補給をするようにしているので、大きなグラスで水を2、3杯飲みます」。
「ほうれん草とマッシュルーム入りのオムレツと、大さじ1杯分のアーモンドバターを加えた豆乳ヨーグルトを少し食べるのが好きです。アーモンドバターは大好きで、カロリーの大部分はそこから摂取しています。あとはやる気を少しプラスするために、ブラックコーヒーを飲みます」
―― 急いでいて、料理する時間が無いときは?
シデ選手は、「食事の時間帯以外に出かけるときは、簡単な軽食を食べます。大体ナッツバターを付けたデーツ(ナツメヤシの実)とダークチョコレートです」。
「それから、ジェルマンの『アーモンドバターの大さじ1杯』は、およそ1/3または1/2カップ(43グラムまたは64グラム)のことだと、彼のためにもはっきりさせておきましょう」
トライアスリート、ジョシュ・アンバーガー選手
アンバーガー選手は「通常、バターとピーナッツバターを塗ったトーストを食べます。時々、ジャムとバナナをのせたり、はちみつをかけたりすることもあります。また、どうしても食べたい時は(ゴマをペースト状にした調味料の)タヒニを塗ることもあります」。
「ベーシックですが、美味しくて胃に負担がかかりません。私はこれを軽食だと捉えているので、朝食ではありません。起きてすぐに走る場合は、少しだけフルーツを食べます。レッドパパイヤ、バナナ、グレープフルーツなどが好きです」
「1日の終わりに走る場合は、おそらく走る2、3時間前に普段の昼食をとってから、果物やジュースのような軽いもので栄養補給します」
「あまり時間がない時は、エナジージェルを飲むだけのこともあります。絶食状態で走るのは避けたいので、胃に負担がかかるような量ではなく、少しだけカロリーを摂取するのが良いと思います」