

好きなことが同じだと、人間同士はもちろん、動物との間にも素敵な友情関係が生まれます。特に犬はトレーニングパートナーの役割も果たしてくれるので、ランナーにとって、とても大きなメリットになります。
餌を与えてくれる人、一緒に散歩してくれる人、いつも抱きしめてくれる人(…ですよね?)――このようにして犬は飼い主に愛情を抱きます。そしてその逆も然り。犬を飼うことがもたらす心理的・生理学的効果をまとめた無数の研究結果でも、犬の存在がいかに人間のストレスを和らげ、オキシトシン(いわゆる「幸せホルモン」)の分泌を促すかがわかっています。つまりエクササイズしながら愛犬と楽しい時間を過ごすことでももちろん、大きな癒し効果が得られるのです。
ランナーの横にぴったりついて、嬉しそうに一緒に走りだす犬――きっと誰もが一度は目にしたことがある光景ですね。でもそのように愛犬と一緒に走れるようにするには、何から始めれば良いのでしょうか?もしあなたが元気なアウトドア派なら、愛犬も自然とエネルギッシュに活動できるかもしれません。もちろん落ち着いたタイプのあなたも、できるようになるので心配はいりません。
そして「そもそも犬を飼っていないし」と言うそこのあなたも心配無用。友人やご近所さんの犬を借りればいいのです。犬の散歩は業者に頼むとお金がかかりますから、きっと喜んでくれます。そのほかにも、地域の保護動物シェルターや動物保護施設に問い合わせて里親になる方法があります。ただ、実際に犬を飼うには大きな責任が伴います。まずはお試し期間を設けてみると良いでしょう。
よくある質問と回答を以下にまとめました。
犬は外に出るのが大好きですし、飼い主と一緒ならもっと喜びます。どんな犬も日常的に運動が必要です。また犬にとって飼い主は親友なので、飼い主のすることすべてに興味を示すものです。もし興味がなければ犬ははっきりと意思表示します。
走る能力は犬種、年齢、健康状態によって異なります。犬種の違いによる走る能力や適性はオンライン検索ですぐに情報を見つけられますが、個体の健康状態によっても大きな差があるので、かかりつけの獣医に必ず確認してください。
スタミナが必要な長距離ランを一緒に行う場合には、愛犬が充分に発育するまで待つことが大切です。生後2年間は骨の成長が続き、その後の犬の健康状態に影響を与えます。
幼い愛犬とのランニングに注意を払うことも大切ですが、老齢期に入った犬とのランニングもしっかりと考えてあげましょう。年齢を重ねた犬は関節に問題を抱えることが多く、ランニングなどをすると悪化する可能性があります。最初は軽いランニングでようすを見ながら始めましょう。愛犬が発するホディランゲージを見落とさないようにし、不安なときはかかりつけの獣医に相談してください。
愛犬と一緒に走れるようになるには、まず一緒に歩けるようにならないといけません。そして愛犬の心配をせずに安全に走るには、しつけと互いの信頼が不可欠です。まずはしつけを十分に行なって、リードを外したままでも、飼い主の指示に従いながら走ることができるようにしましょう。 愛犬が自分の指示に確実に従えると確信が持てたら、ランニングの準備は整ったと判断して大丈夫です。
人間でもランナーのタイプがそれぞれ異なるように、犬も体型など千差万別です。ウルトラトレイルのランナーと同じペースで走る犬、飼い主のアスリートと一緒にトレーニングを行う犬、マラソンを走っても人間のランナーよりも余力を残してゴールする犬など、犬にもさまざまなタイプがいます。
一般的な目安として、体型の大きな犬のほうが長距離を走り、体重の軽い犬のほうが速く走ると言われています。当然、同じ犬種であっても個体差があるので、自分の犬の能力を正確に把握することが重要です。人間のランナーが距離を延ばすときと同様に、愛犬の走行距離も時間をかけて延ばして行きましょう。
ランニングシューズから歩数計まで、犬用のランニングアクセサリーは世界中に数え切れないほどあります。ただ、実際に愛犬とのランニングに必要なものは2、3個です。
リード:これは犬を飼っていれば当たり前のことですが、たとえリードなしで伴走できる犬であっても、道が混んでいる場合や突然障害物が現れる可能性があります。常にリードは携帯しておくと良いでしょう。
小さなゴミ袋:犬がフンをしたときに。
水:バックパックに入れるか、ランニングベルトに取りつけます。犬にも定期的に水を与えましょう。
ご褒美のおやつ:走った後は頑張ったご褒美をあげましょう。愛犬が飼い主の指示をしっかり聞くようにしつけるときにも役立つアイテムです。
走ると犬の体温が上がります。汗腺が全身に均等に分布している人間とは異なり、犬は口で体温を調節します。愛犬が(ハスキーやサモエドなど)毛の長い犬種なら、気温の高い日に走る場合は自宅で留守番をさせた方が良いでしょう。
足:生まれつき装備してある天然のランニングシューズ、つまり肉球は犬にとって最も重要な部位の一つです。夏はコンクリートの熱さに注意し、冬は融雪剤がまいてある場所を避けましょう。ひっかき傷や切り傷ができた場合は、犬の肉球に良くない路面を走った、または走りすぎたというサインです。傷ができないように頻繁に愛犬の足をチェックしましょう。
休息:ランニングを始めたばかりのときは特に、愛犬を十分に休ませてから次のランニングに出かけましょう。人間と同じように、犬も次のランニングまでに疲労した筋肉を回復させる時間が必要です。実際に、野生の犬などは休みを入れながら長距離を走ります。休憩時間はとても重要です。
公共の場所:世の中には犬嫌いの人もいることを忘れないでください。特に犬がスピードを出して走っているときは怖がる人もいるので、愛犬とのランニング中は周囲の人にも配慮しましょう。公共の場所では、愛犬が常に自分の近くにいるようにリードを持ち続けます。
ただ、最終的には必ずかかりつけの獣医または犬の専門家の判断をあおぎましよう。
四足でも二足でも、楽しいランニングを。